出生数が2年連続で100万人割れの94万1千人、昨年を3万6千人下回り過去最低を更新



底が抜けたように少子化が加速しています。詳細は以下から。


BUZZAP!ではちょうど1年前に日本の出生数が統計を取り始めた1899年以来初めて100万人を切る情勢となったことをお伝えしました。

上記記事では98万1千人が見込まれていたものの結局2016年の出生数は97万7千人に留まりました。この数は2015年の100万5677人から2万8千人余りと2.8%の減少です。

2017年の出生数の見込みは94万1千人とされており、3万6千人の減少となって昨年からの減少幅も3.6%とより激化。少子化には全く歯止めが掛かっていないどころか極めて危険なスピードで進んでいることが明確に見て取れます。

少子化の理由としては、これまで野放しだった少子高齢化の進展によって20~30代の女性の人口が減少していることが第一に挙げられます。1人の女性が一生の間に産むと見込まれる子どもの数を示す合計特殊出生率は若干回復しているものの、1.44と人口を維持できる2.07には遠く及びません。


こうなってしまった理由としては、日本の政治や社会のあり方が子どもを生み育てる事に対して極めて非協力的どころか排除的ですらあることが挙げられます。

学資ローンの返済問題やブラック労働の蔓延などで若者の貧困化と疲弊が進み、結婚と育児に必要な費用を捻出することが困難なケースが増えている上、こちらも常態化した非正規雇用によって将来への不安が結婚や出産への大きなハードルとなる場合が少なくありません。

長時間労働によって恋愛や婚活を行う時間や気力、体力を持つ事ができない若者も多く、実際に結婚した夫婦も去年より1万4千組も減って60万7千組に留まっています。

Photo by Philippe Milbault

育児に関しても待機児童問題はいまだに女性が出産を躊躇う大きな障壁となっていますし、小中学校の教師の削減や大学の学費の高騰によって子どもに満足な教育を受けさせられない可能性も高まっています。


安倍政権になってからは民主党時代の高校無償化や子ども手当は縮小・廃止となり、消費増税に伴う子育て給付金も2016年には廃止され、生活保護の母子加算削減も決定しました。

さらに社会的には「マタニティーマークを付けていると突き飛ばすなどの攻撃を加えられる」「ベビーカーを使用していると迷惑だと怒鳴られる」などといった醜悪かつ愚劣極まりない風潮が日本社会に蔓延していることも大きな原因のひとつ。

もはや社会全体が子どもを育てることを可能な限り辛く困難なものにしようとしているのではないかと疑うレベルに状況は悪化しており、こうした中で辛く嫌な思いをしながら子どもを産み育てようという夫婦が減少することはある意味極めて正常なリアクションと言えるでしょう。

もし日本人女性に子どもを産んで欲しいのであれば、フランスのように手厚く子育てを支援し、若者が結婚できるような制度を充実させ、妊婦や子連れのお母さんへの攻撃を厳しく断罪する必要があるでしょう。

このまま少子高齢化がどれだけ進むとしても「なるべくしてなっている」としか言えない状況が目の前にあることを日本人全員が肝に銘ずるべきでしょう。

出生数、2年連続の100万人割れ 自然減は過去最多:朝日新聞デジタル

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