日本人の97%は始まる前からこうなることを知っていたと思われます。詳細は以下から。
◆働く人を完全無視した消費喚起策の数々
経済産業省と経団連、日本百貨店協会や日本チェーンストア協会など関連団体が冷え切った消費を喚起すべく2017年2月24日から始めたプレミアムフライデー。
月末の金曜日に15時に仕事を終えて空いた夕方を買い物や旅行などにあててジャブジャブ消費してもらおうという目論見は、発表された途端に全方位からツッコミの嵐となりました。
経産省が2億円の予算をつぎ込み、世耕経済産業大臣も「安売りキャンペーンじゃない。消費者が豊かさを感じられるような、新たな消費喚起の取り組みが検討されていると伺ってる」と得意満面でしたが、当然の如くこの浮き世離れしたアイディアは導入初日から頓挫します。
「月末のクソ忙しい金曜日に早上がりなんてできるわけがない」とサラリーマンからは総スカンを食い、加えて「それよりも贅沢できるだけの賃金を出せ」「毎日残業で定時退社すらむずかしいんだが待遇改善が先」「サービス業だから全く関係なし」などと政府の「働き方改革」とやらが一向に進んでいないことを浮き彫りにするだけの結果となりました。
9月になって経団連の榊原会長はようやく「企業にとって月末は忙しい時期だ。『月初めにしてほしい』という声は強く、見直すとすればそのあたりになる」とコメントして失敗を認めましたが、それ以前に見直すべきは低賃金と非正規雇用と長時間労働といったブラック労働なのですが、その辺りには頬被りです。
これだけでなく全国の小中高校を対象に、主に夏休みを短くしてその分の休日を地域ごとに別の時期にまとめて休ませる「キッズウィーク」や、月曜日に午前半休を取れるようにする「ラグジュアリーマンデー」などの明後日な提案も飛び出しており、いったいブラック労働の根本的な解決からどれだけ目を背ければ気が済むのかと呆れかえらざるを得ない状況となっています。
◆利用率3%という惨憺たる結果に
オワコン化しながらもゾンビのように続けられてきたこのプレミアムフライデーですが、ニッセイ基礎研究所が導入1周年を前に全国約1万人の男女にアンケートを行ったところ、同制度の認知度は94.5%と非常に高いものの、「1回以上利用した」人はわずか3%に留まっています。
結局それでも同制度を利用したのは公務員の7.1%や大企業の正規雇用者の7.0%などが主体。一方で時間給で働く非正規雇用者からは「収入が減ってしまうのが嫌」という理由で敬遠されてしまい、場合によってはそもそも対象外にされていることも。
また、せっかく利用した人でも世帯年収別に見ると高年収層で「食事」や「買い物」が多く消費活動を行っていますが、低年収層では「自宅で過ごした」が多くなっており、過ごし方はライフステージより可処分所得の影響が大きいことが伺えます。
こうしたことからニッセイ基礎研究所は報告の最後で「労働者一人当たりの実質賃金は伸び悩む中、合わせて可処分所得の引き上げなども求められる」と指摘しています。
BUZZAP!では繰り返し主張してきたように、賃金を上昇させ、長時間労働を抑制し、雇用形態を安定させ、誰もが有休を完全に消化できる社会にすれば、こうした小手先三寸の政策など行わなくとも国民は旅行を始めとして余暇を満喫し、不安に苛まれずにどんどん消費し、日本経済が活性化することは疑いようもありません。
開始から1年、プレミアム・フライデー~利用は3%、雇用形態で非利用理由に差、生産性向上と施策に柔軟性が必要 _ ニッセイ基礎研究所
プレミアムフライデー来月で1周年、利用率は3%にとどまる|ニフティニュース
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