2割がデタラメと判明したデータなど、誰がどう考えてもゴミでしかありません。詳細は以下から。
3年近くにわたって裁量労働制を巡って行われた「裁量労働制で長時間労働にはならない」という主張がデタラメだらけのデータにを根拠にしていた問題で、安倍政権は今国会に提出予定だった働き方改革関連法案から「裁量労働制の対象拡大」の削除に追い込まれました。
このデータを巡ってはBUZZAP!でも詳報しましたが、政府の方針に沿った結果となっていたことから「捏造」の可能性を指摘され、ないとされていた調査票があとから「発見」されるなど、単純ミスの範疇では片付けられない「疑惑」の案件となっています。
同時に厚労省の担当者という部下に責任を押しつけて逃げようとする安倍首相や加藤厚労相の態度も「潔くない」「それでも最高責任者か」と批判され、残業時間の上限規制を人質にしながらこの法案をゴリ押ししようとする姿勢には「本当に働く人の事を考えているのか?」との不信感が広がっていました。
つい先日も不適切データを野党側に提示した当時の厚労政務官であった自民党の橋本岳厚労部会長が「(資料を)執拗に要求したのは野党で、繰り返し問い詰められ、(厚労省が)やむを得ず作成した」などとアクロバティックな擁護&責任転嫁を行って謝罪に追い込まれるなど、働く人の生死や生活の根幹に関わる重要法案にも関わらず国民に対して極めて不誠実な態度が改められていません。
そうした状態にもかかわらず、裁量労働制の拡大と並んで「残業代ゼロ法案」の片翼とされる「高度プロフェッショナル制度」は今国会でゴリ押ししてでも強行採決する構えを崩さないなど、非常に危険な状況が現在も続いています。
そうした中で厚生労働省はこの件に関し、全国1万1575事業所のデータのうち、2000超を撤回することが明らかになりました。同省は15日に裁量制と実態比較する対象とした一般労働者のデータに計966事業所で異常値があったとする精査結果を公表。
この中では1日の残業時間が1カ月分を上回るといった異常データなどもあり、こうした異常を確認した事業所のデータなどを除いて精査した結果、一般労働者の残業時間は1日平均1時間37分としていたものが1時間33分に短縮されています。
厚生労働省は2割近くのデータが異常だったにもかかわらず、この期に及んで「統計的な数値としては有意」としています。
しかし2割が撤回に追い込まれた元データなどに何ら信頼性がないことは誰がどう考えても明らかですし、そもそもこのデータは政府側が「平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」と主張できる形でデタラメだったことからも公正なデータが求められる国会で根拠として用いられるべきものではありません。
繰り返しますが、働き方改革関連法案は働く人の生死や生活の根幹に関わる重要法案であり、根拠の崩れたデータに基づいて拙速に成立させて良いものでは断じてありません。
厚労省の裁量制調査、異常値966件 厚労相「反省」:日本経済新聞
データ撤回、2000超=働き方議論の労働時間調査-厚労省:時事ドットコム
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