顔の表情までも細かく管理され、ダメ出しされる世の中になるようです。詳細は以下から。
◆「笑顔でないと出勤できない」システム
低賃金低待遇での長時間労働や休日出勤といったブラック労働を、先の見えない非正規雇用の身分で強要される事も少なくない現代日本社会。過労死や過労自殺が大きな問題となっていますか、そんな疲労困憊の従業員たちが毎朝無理矢理にでも笑顔を作らなければ出勤すら許されない時代がやってきそうです。
業務用ソフト制作の「e-cometrue」が顔認証技術を用い、従業員が笑顔かどうかを測定する機能を設けた出退勤管理システムを開発したことを北海道新聞が報じています。出勤時間登録の際の顔認証で一定のレベルを上回る「笑顔度」であるとシステムが判断すると、出勤登録できるようにするという「鬼」仕様です。
このシステムをタブレット端末の画面に自分のIDを打ち込むと、カメラが作動して顔写真を撮影します。これによってIDとの本人確認を行うと同時に、口角が上がっているかなどの表情の要素から、笑顔かどうかを判定。
「笑顔度」は数値で表示され、値が低いと「笑顔度が規定値より不足しています」との表示が出て、出勤の登録ができず、再びカメラの前でしっかり笑顔を作ることが求められるというもの。
定時までにシステムの求める笑顔を作ることができなければ、出勤できないまま遅刻扱いにされることになりそうです。
なお、「175。DENO担担麺」を運営する「175」は2019年中に全7店舗でこのシステムを導入予定とのこと。同社システム管理者の柳橋優樹さんは「笑顔はサービスのひとつで、顧客満足度の高さにつながる。従業員に毎日の笑顔をチェックをする習慣にしてほしい」と取材に答えています。
◆言うまでもなく炎上
改めて指摘するまでもありませんが、このシステムの記事が出た途端にネット上では批判が巻き起こっています。
弁護士を含む複数のアカウントからは表情によって出勤を許さないことに「労基法違反では?」「リーガルチェックしているのか」などと現行法上の問題を疑う声が上がっている他、「モラハラ」「人権問題」との指摘も相次いでいます。
ディストピア小説「1984年」での、公私あらゆる場面で仕草から表情までを管理されている日常生活の描写との類似を指摘する声も上がっており、評判は最悪と言うしかありません。導入した「175。DENO担担麺」には行きたくないという意見まで出ています。
問題はまず、接客業であったとしても接客業務中以外の表情まで雇用者に管理される謂われはないということ。業務開始前の表情ひとつで出勤を拒否される事には強い拒絶反応が起こっています。
また、笑顔になれなかったとしたらその原因を解決するべきで、無理矢理カメラの前での笑顔を強要して済む話ではありません。体調不良であれば休むべきですし、疲労が抜けないのであれば勤務体系を見直すべきところ。
仕事に関してトラブルや悩みがあるのであれば、いったい何がどのような理由で起こっているかを究明して何らかの改善策を講じるのが雇用者側の責任です。
そうした「笑顔になれない理由」を、出勤登録を人質にして作り物の笑顔で塗り固めさせようとしている訳ですから、炎上するのも致し方ないと言えそうです。
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