保守思想の持ち主は政治家のデマに寛容なことが明らかに



どうやら政治思想の立ち位置でデマに対する許容度が違うようです。詳細は以下から。


2016年のアメリカ合衆国大統領選挙以来、世界に知れ渡った「フェイクニュース」という言葉。ネット上を中心にデマがまことしやかなニュースとして駆け巡り、ファクトチェックが追いつかないままに蔓延して人や物事の評価に影響を与えることは今や不思議ではありません。

そうしたデマがツイッターなどのSNSで、ボットと呼ばれる自動投稿アカウントではなく主に人力で広められていくこと、そして保守派の人々がリベラル派よりも積極的にデマの拡散に荷担してきたことは以前BUZZAP!でも指摘したとおり。

ベルギーのゲント大学のPhDのJonas De keersmaeckerさんはいったいなぜこのような違いが起きるのかに着目。市民権を持つアメリカ人649人を対象に実験を行いました。

実験では政治家による3タイプの嘘を試しています。ひとつめは真実ではないことを言う嘘、ふたつめは真実を隠すために重要な情報に言及しない嘘、みっつめは事実を用いて誤った印象を植え付ける嘘です。

被験者らは架空の政治家による3種類の嘘のステートメントを読み、それぞれに対してどれほど倫理的か、正直か、道義をわきまえているかのレートを付けます。

その結果、被験者の中で保守派で権威主義的であった人ほど、政治家の全てのタイプの嘘に対して寛容であるという結果が出されました。こうした人々は実験の中の「厄介者の集団が黙って社会の中のあるべき位置でおとなしくしていれば、この国ははるかによくなるだろう」といった主張に賛同を示していました。

また、実験では共和党支持者の方が民主党支持者よりも政治家の嘘により寛容であったという結果も出されています。

なおDe keersmaeckerさんによると、保守派の人々が政治家の嘘が拡散することを認めているわけではなく、道徳的に許容できるレベルの基準が低いということ。

また、重要なのはこの実験で用いられたのは一般人の嘘ではなく政治家による嘘だったということ。これによって権威主義と結びついた時、人々が権力を持つ人物の言葉にどのように反応するのかが浮き彫りにされています。

これはあくまでアメリカ合衆国での実験ですが、日本であなたの身の回りでは政治家の流すデマや嘘はどのように受け取られているでしょうか?その人の政治的立ち位置と併せて考えてみると面白い気づきがあるかも知れません。

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