高齢化と医療費増大に悩む日本に取って、先入観を取っ払ってしっかり考える必要のある調査結果です。詳細は以下から。
某アイドルカップルの大麻使用の発覚に伴い、日本の大麻規制が妥当であるかについて地上波テレビ上でも議論が始まっています。
確かに現在は大麻取締法によりレクリエーション目的はもちろん医療目的の大麻使用も犯罪です。
しかし急激に高齢化が進み、医療費などの社会保障費が増大の一途を辿っている日本社会にとって、大麻を有効に活用することが助けになる可能性が最新の研究によって明らかにされています。
既にBUZZAP!ではお伝えしているように、欧米を中心に大麻の合法化や非犯罪化が急速に進んでいます。では大麻を使用するようになって人々の生活や健康はどう変化したのでしょうか。
ジャーナル「Gerontology & Geriatric Medicine」に掲載された研究では、最初期にレクリエーション目的の大麻が合法化されたアメリカ合衆国コロラド州で高齢者を対象として大麻使用と健康についての調査を行っています。
University of Colorado School of Medicineの研究チームは平均年齢72.5歳の274人の高齢者を対象に調査を実施し、大麻使用のパターンを分析しました。
それによると、回答者の45%が前年に医療かレクリエーション目的の大麻を使用しており、そのうちの54%が両方の大麻を併用していました。
大麻の使用方法も喫煙、食べる、クリームなどを併用するのが一般的で、ヴェーポライザーや液状のものを使用する人もいました。
大麻を使用した理由としては関節痛や腰痛、不安や鬱が多く、頭痛やPTSD、癌などが続いています。
使った結果の効果としては、71%が全体的な健康を、73%がクオリティ・オブ・ライフ、56%が日常的な動作、79%が苦痛が改善したと報告しています。
使用している層としては、高齢になるほど減少し、女性と自らが健康だと判断する人では少なめです。また医療用のモルヒネなどを使っていた人に多く見られるとのこと。
高齢者の中でも実際に健康上の不安を抱える層が大麻を医療目的で使用し、効果が上がっていることが見て取れます。
これに加えて2017年の研究では、大麻の有効成分であるカンナビノイドのTHCを老齢のマウスに少量摂取したところ、老化に関連する認知機能低下を逆進させることが分かりました。
人間での効果は現時点では検証されていませんが、認知症などへの有効な対策となる可能性も秘めていることが分かっています。
また、2016年に発表された研究では、2013年に医療大麻が合法化されたワシントン特別区と17の州で公的高齢者・障害者医療保険によって使用された処方薬のコストは医療大麻の存在によって1億6520万ドル(約165億円)削減されたと見積もられました。
これが仮に全米で医療大麻が合法化され、同じ割合で公的高齢者・障害者医療保険による処方薬が医療大麻に置き換わった場合は、全体で4億6800万ドル(約468億円)の医療費削減に繋がることになります。
高齢化とそれに伴う医療費などの社会保障費の増大は日本社会にとっても喫緊の課題となっています。大麻が現在違法とされている事だけに注目するのではなく、実際に医療目的で使われた際の健康上・財政上の効果についても冷静に分析する必要がありそうです。
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