「上場企業の平均年間給与が7年連続で上昇し、初の600万円台を達成した」という深すぎる闇



好景気の儲けがどこに流れてどこに流れていないのか、全体像がよく分かる結果となっています。詳細は以下から。


◆上場企業の平均給与が上昇し続けて600万円台を達成
東京商工リサーチが5月27日に2018年決算「上場企業2591社の平均年間給与」調査の結果を発表しました。


それによると、上場企業2591社の平均年間給与は606万2000円(中央値593万5000円)で、前年より7万円(1.1%増)増えています。

給与の増加は2012年から7年連続となっており、8年間で42万5000円(7.5%増)上昇しました。伸び率は、前年比1.1%増となって2017年を0.5ポイント上回り、2016年以来、2年ぶりに1%台の上昇率となっています。

業種別では、建設業が718万7000円の前年比1.6%増で4年連続でトップとなり、最低は小売業の473万8,000円ですが、こちらも6年連続で平均年間給与は増加しています。

国税庁の民間給与実態統計調査によると、企業全体で見た平均給与は432万2000円で、5年連続で前年を上回っていますが、上場企業の平均年間給与と2017年で167万円の差が出ています。

東京商工リサーチは、上場企業の平均年間給与は業績好調を背景に上昇しているものの、中小企業では人材確保による人件費アップを避けられず、規模による収益の格差は拡大していると分析しています。

◆それでも最低賃金は上げられないのはなぜ?
さて先日、日立製作所の会長でもある中西宏明経団連会長はここ何年か最低賃金を上げ続け、もう限界だという声もあり、3%は多すぎるということだ。何をねらってどの程度やっていくべきか議論をしっかりすべきだとして、最賃アップに慎重な姿勢を強調しました。

また日本商工会議所の三村明夫会頭は、政府の最低賃金を1000円に引き上げる議論に対し重大な影響が中小企業にあると思います。1000円というのは大変大きな金額ですよ。ですらかそれありきで物事が進むことは我々は反対であるとと明言。

上場企業の業績が好調で従業員の給与を7年連続でアップさせて初の600万円台にまで載せているのに、どういうことなのでしょうか?


同じ東京商工リサーチの行った調査によると、2017年度に1億円以上の役員報酬を得ていたのは704人で、前年度と比べて1億円以上の役員報酬を得ている人が98人も増加しています。

また、財務省が2018年9月3日発表した2017年度の法人企業統計によると、企業の蓄えた「内部留保」に相当する利益剰余金が、金融・保険業を除く全産業で前年度比9.9%増の446兆4844億円となって過去最高を更新。内部留保が過去最高となるのは、第2次安倍晋三政権が発足した2012年度以降6年連続のこととなります。

つまり、2591社の上場企業を中心とした大企業は役員にも従業員にも潤沢に報酬なり給与なりを払っており、「内部留保」も溜め込んでいますが、そうした恩恵は中小企業までトリクルダウンしていないことが分かります。


◆この「極めて深刻な日本経済の現状」の原因は?
中小企業庁が2018年4月に提出した最近の中小企業・小規模事業者政策についてという公式資料によると、日本の全事業者382万のうち99.7%が中小企業であり、従業者で見ても約70%が中小企業に就業しています。


これらの中小企業が人手不足に伴う人件費の高騰などで収益を削られ、フルタイムで働いても年収200万円にすら遠く及ばない、ワーキングプアど真ん中の時給1000円を支払うことすら困難な状況にあるということになります。

前記事ではこれを「極めて深刻な日本経済の現状」と評しましたが、いったいその原因と責任はどこにあるのでしょうか。

日本で働く社会人ならば誰でも知っていることですが、中小零細企業の多くが大企業の下請けや孫請けとして仕事をしています。

現時点でも「下請けいじめ」という言葉があるように、クライアントである大企業に安い金額や無茶な仕事量・納期で仕事を振られ、立場上断れずに無理をして仕上げざるを得ないという状況が全国的にまかり通っていることを実感している人も多いでしょう。


こうした状況下で最低賃金アップに反対するということは、中小企業にとっては切実な防衛かもしれませんが、大企業にとっては中小企業を犠牲にしてさらなる利益を求めることに他なりません。

この傾向が続けば、ディストピア小説にありがちな「極少数の富裕層と大多数の貧困層」という構図が固定されることになりますし、ろくな可処分所得を持たない貧困層ばかりでは個人消費が伸びるはずもありません。

中長期的には自らの首を絞める事になりますが、私たちの社会の向かう先はこれでいいのでしょうか?

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