【ファクトチェック】「正規は有給休暇あるが、非正規にはない」自民・佐藤正久議員の認識は正しいのか



ヒゲの隊長の愛称で知られる自民党の佐藤正久議員のこの認識、そうだよなと思っている人も少なからずいそうですが、本当なのでしょうか。詳細は以下から。


佐藤議員は2月18日、新型コロナウイルスによるCOVID-19に対する加藤勝信厚労相の「発熱などの風邪症状がみられるときは会社や学校を休み、毎日検温をして結果を記録していただきたい」との発言を報じる記事を引用してツイート。

そこで「会社を休ませる指示なら、非正規の 雇用者の保障をしないと。正規は有給休暇はあっても、非正規の方々にはありません。動きます」と述べました。



このツイートの中の「正規は有給休暇はあっても、非正規の方々にはありません」という部分、非正規雇用で働いている人の中には「自分には有給休暇がない」と思っている人もいそうですが、これは本当でしょうか。


◆「非正規雇用者に有給休暇はない」は完全なデマです
結論から言うと、佐藤議員のこの認識は100%間違っています。厚生労働省の年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですかというページを見てみましょう。


労働基準局監督課が「パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者についても年次有給暇は付与されます」と明言しています。


有給休暇が付与されるのは雇い入れから6ヶ月以上が経過した労働者であり、正規か非正規化の区別は存在しません。ただし短時間の労働者はフルタイムの労働者よりも少なくなります。

年次有給休暇の法的根拠となる労働基準法第39条は以下のとおり。

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

労働基準法より引用)


◆そもそもCOVID-19で休むのに有給休暇?
厚労省によると、2月1日に新型コロナウイルスによるCOVID-19を感染症法に基づく「指定感染症」と検疫法の「検疫感染症」に指定する政令が施行されています。

これは「国内で患者が発生した場合に備え、当該患者に対して適切な医療を公費により提供する体制や検疫体制を整備すること等のため、所要の措置を講じる」ためのもの。

そして、厚労省は新型コロナウイルスに感染した労働者への休業手当について以下のように指摘しています。

例えば熱が37.5度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。

新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)|厚生労働省より引用)


佐藤議員が引用した記事のツイートでは加藤厚労相が「発熱などの風邪症状がみられるときは会社や学校を休み、毎日検温をして結果を記録していただきたい」と発言したことを紹介。

つまり厚労相自らが「一定の症状があること」をもって会社や学校を休むように要請していることになり、使用者を飛び越えて労働全般を監督する厚労省からのお達しが出ている状態です。

であれば自己都合扱いの有給休暇ではなく、休業手当での対応が妥当なはずのところ。さらにいえば使用者に対して公費によるなんらかの保証があってもいい場面です。

例えばシンガポールでは、中国本土に渡航歴がある人の休暇取得が義務とされ、使用者に支援金が支給されることに。また韓国ではCOVID-19に感染して隔離された労働者に対し、4人家族なら月123万ウォン(約11万3000円)の生活支援費が支給されます。

佐藤議員が「会社を休ませる指示なら、非正規の雇用者の保障をしないと」としながら有給休暇を持ち出す時点で、(正規・非正規の問題以前に)論点が大きくずれていることになります。

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