7都府県は「ロックダウンできない」どころではない、ゆるくのんびりとした緊急事態宣言の初日を迎えたようです。詳細は以下から。
昨日東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に発令され、今日4月8日の0時から効力の発生した史上初の新型コロナウイルス感染拡大対策の緊急事態宣言。
ですが今日の光景は多くの人が考えるよりもかなりゆるい、いつも通りの日常に近いものでした。いったいなぜそうなったのでしょうか。
◆強制力のない「要請」しかできない緊急事態宣言
もとより新型コロナ特措法の性質上、外出自粛要請には強制力も罰則もないためロックダウンはできないとされていました。加えて生活必需品の買い出しや、仕事のための通勤もこれまでどおり制限されることもないと事前に明言されていました。
このため、今朝もこれまでと大して変わらない数の通勤客らが満員電車に揺られて通勤している情景が報じられています。また、これには以下で述べる事情も大きく関係しています。
◆政府が休止要請に「厳しすぎる」と横やり
緊急事態宣言時には対象地域の都道府県知事は住民に対して外出自粛の要請が可能となるほか、学校、社会福祉施設、一定規模以上の競技場、映画館、ホール、劇場などの使用制限やイベントの自粛を要請することになっています。
このため東京都は最大限の自粛要請を行う準備を進めており、事前に公表した休止要請案のリストはメディアでも報じられ、これをもとに休業を決めた店舗もありました。
しかしそこに政府から「厳しすぎる」との謎の横やりが入ります。「百貨店は休業させるべきではない」「居酒屋の定義が不明だ」などと否定的な意見が出たことで、都はこの案の事実上の撤回に追い込まれます。
結局は「国との見解の相違が大きすぎた」として10日に改めて休止の対象施設などを示し、11日からの休止を要請するというなんとも後手後手な対応を強いられています。
強制力はなくとも、知事からの明確な強い要請があれば動きは違ったものと思われますが、政府が自ら足を引っ張る格好となってしまいました。
◆国の対処方針の遅れ、補償の不足
同様に、他の6府県も国の対処方針の公表の遅れなどから後手後手に回らざるを得ない状況となっている他、自治体ごとに対応のちぐはぐさも見られます。
こうした中で、神奈川県の黒岩知事は「休業要請は補償とセットでなければ、ご理解いただけない。業界に(休業)要請する必要はない」と述べ、県だけでは補償しきれないため休業要請が困難であると指摘しています。
全国知事会も8日午前にテレビ会議を開催し、自粛に応じる事業者に幅広く補償するよう国に求める緊急提言をまとめました。これは緊急事態宣言での具体的な権限を持つ都道府県知事からの提言となり、極めて重要なもの。
補償なしでの自粛要請でどれだけの業界が壊滅的な打撃を受けるかについては各所で述べられているためここではあえて論じませんが、全国知事会がこのことを認識した上で提言を行っていることは救いといえます。
◆特措法は3週間前に成立していたのに…
何よりも問題は、こうした政府と実際に要請を行う対象となる都道府県知事との事前のすり合わせが発令までにできていなかったこと。
3月14日に新型コロナ特措法は成立していたわけですが、発令までに具体的な対処方針を国が立てられておらず、加えて地方自治体との連携も取れていなかったのは極めて残念な話。
特措法成立時は東京オリンピックの完全な形での開催を目指していたこともありますが、その間にプランBとしての緊急事態宣言発令を想定した動きができていなかったことになります。
具体的な対処に発令後まだ数日掛かるという状況は「国民の生命および健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあり、感染経路が特定できない症例が多数に上り急速な増加が確認されている」と安倍首相が語った日本の現状を考えればあまりにもゆっくりしすぎていると言わざるを得ないでしょう。
医療科学社 (2020-03-31)
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