まずは受け取りましょう。話はそれからです。詳細は以下から。
◆「一律給付の10万円」に広がる辞退の声
後手後手ながら、ようやく決まった新型コロナウイルス感染拡大対策としての「10万円一律給付」。
「世帯主が家族分一括申請」というシステム上の問題点はありますが、ホームレスでも在日外国人でも給付されることになり、日本に住む誰もがこれを理論上は受け取れることになります。
さて、ここで話題になっているのが「給付金の辞退」です。安倍首相と全閣僚は4月20日に給付金を辞退すると明言。菅官房長官は21日、これに加えて副大臣、政務官が受け取りを辞退することを明らかにしました。
また自民党の二階俊博幹事長は「自民党議員は受け取らず、できるだけ(国民の)共感が得られる形で処理したい」と強調しています。
民間では、日本ドラッグストア協会の常任理事ら協会幹部の計54人が辞退すると発表。「ドラッグストアは営業を続けており、給付金は休業せざるを得ない事業者などへ有効活用してほしい」と説明しています。
◆「辞退すべし」とする同調圧力が醸成されてしまう
給付金の辞退によって大変な人と痛みを分けあう、一見美談のように感じる人もいるかもしれませんが、これは大きな間違いです。どういうことか説明していきましょう。
BUZZAP!でも昨日報じて大きな反響となりましたが、広島県の湯崎知事が県職員に給付される10万円を「接収」し、新型コロナ対策への基金とする案を発表。当然ながら大炎上し、撤回に追い込まれました。
またタレントの橋下徹さんは議員に加えて公務員も受け取り禁止にしろと主張。こちらも大きな物議を醸しています。
10万円一律給付金)給料がびた一文減らない国会議員、地方議員、公務員は受け取り禁止!となぜルール化しないのか。その上で、それでも受け取ったら詐欺にあたる、懲戒処分になると宣言すればいいだけなのに、これも各自に任せるといういつもの無責任政治。国会議員でも絶対受け取る奴はいるよ。
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) April 21, 2020
このように、上層部のもとから収入の多い層が辞退することで、その下にいる人々が辞退しなければならないような「空気」、日本人にはおなじみの同調圧力が作られることになります。
公務員といっても賃金も千差万別で、非正規待遇の公務員が多数存在していることは今や常識。当然その中にはひとり親家庭や要介護者を抱える家庭もあり、ひとくくりにするのは極めて雑な話です。
もちろん公務員の中にも医療や看護を筆頭に新型コロナ対策の現場で奔走している人もいますし、そうでなくともこうした国難の中で公務により会のインフラを維持することは極めて重要な仕事です。
「新型コロナの影響を受けていなければ辞退して当然」となれば、同様にドラッグストアの社員や運送業などのエッセンシャルワーカーに対しても「辞退すべし」との声が高まることになります。
感染の危険と常に向き合いながら今も働き続ける人々を、これ以上無用で理不尽なストレスにさらすことが社会のためになるわけもありません。辞退を美談とすることは自らが辞退するにとどまらず、他人にも「辞退を要請する」空気を作りだすことになってしまいます。
◆なぜ誰もが「一律給付の10万円」を受け取るべきなのか
この「一律給付の10万円」は新型コロナの感染拡大対策であり、緊急経済対策でもあります。仕事がなくなったり減ったりしている人にとっては焼け石に水とはいえ重要な現金です。
家賃や光熱費、日々の生活費など、使うべきところに使うのは当然ですし、「老後資金2000万円」を自分で貯めるようにと国が言っている以上、貯蓄に回しても何の問題もありません。
新型コロナのパンデミックは終息のめどが経っておらず、この先どれだけ「外出自粛」や「休業要請」が続くのか答えられる人はいないため、自衛策として貯めておくのは極めて合理的な行為です。
では、現時点では生活に大きなマイナスもなく、仕事も支障なく続けられている人はどうするべきなのでしょうか。
その答えは感染拡大防止のため旅行などのコト消費が難しい以上、「買いたいものを買う」です。
まとまった買い物をしてもいいですし、新調しようと思って後回しになっていたものをこのタイミングに買うのもいいでしょう。ストレス解消にちょっと贅沢な食材を買って自炊を満喫するのも手です。
知人や友人がお店をやっていればそこの商品を買ってもいいですし、応援したいお店で散在するのもいいでしょう。遠くまで出かけずとも、オンラインショップや通販、テイクアウトなどを活用すれば今は多くの買い物ができます。
それによって経済が回り、窮地に陥っているビジネスを少なからずとも助けることになります。ネット上では新型コロナの影響で大量の在庫を抱えている生産者らがヘルプを求めるケースもあり、そうした商品を購入することは直接的な支援となります。
また、すでにライブハウスやクラブなどは存続のためのクラウドファンディングを行っていますが、映画館や劇場、ギャラリーやミュージアムなど自分の興味のあるジャンルのアートやカルチャーを支援するのもいいでしょう。
さらに推しのアーティストの作品やグッズを買う、オンラインイベントで投げ銭をするなど、手元の10万円で自分が支援をしたい対象に直接「課金」できるのです。
もちろん、そうした使い道が思いつかなければ必要と思われるところに寄付をするのも手です。日本赤十字社でもWHOでもパンデミックに際して資金が必要なところはいくらでもあります。
お分かりでしょうか。緊急経済対策としての「一律給付の10万円」の最大の意味はこうして草の根レベルから経済を回すことにあります。
辞退することで国の施策の足しにしてもらうと考えている人もいるようですが、その10万円がどこでどのように使われるかを知ることはできません。
実際問題として、466億円使って政府が配布する布マスクに数千枚単位で汚れや異物混入、カビなどの不良品が紛れ込んでいるのが現実です。
誰のためにもならない施策でお金がドブに捨てられる可能性も十分あることを考えれば、まずは受け取って自分が応援したいところに使うことがもっとも直接的な支援に繋がります。
新型コロナの影響を受けていない人は、自分が税金を使って緊急経済対策を行うのだと発想を変えてみてはいかがでしょうか。
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