岸田首相が呼びかけ人となって100人超の賛成議連も自民党にはあるはずですが、検討すらしないと決めたようです。詳細は以下から。
◆自民党が公約から選択的夫婦別姓の「検討」を削除
自民党が10月12日に発表した衆院選に向けた公約の政策集から、選択的夫婦別姓制度の検討が削除されました。
具体的には、原案に記されていた「夫婦の氏に関する具体的な制度のあり方についてさらなる検討を進める」との一文が抹消されたというもの。
高市早苗政調会長は記者会見で「公約が後退したわけでは決してない」と強調しましたが、高市氏は選択的夫婦別姓に反対する自民党の議連「『絆』を紡ぐ会」の共同代表を務める人物です。
「絆」議連は「地域社会の絆、家族の絆など、わが国の更なる発展のための政策を検討すべく設立する」として2020年11月に発足。選択的夫婦別姓が子供の姓をめぐって家庭内で混乱や対立が生じさせるとしています。
12月にはさっそく第5次男女共同参画基本計画の原案を議論する自民党の合同会議で反対を唱えており、高市氏は「私たちが見過ごせない文言が入る可能性がある。親子、夫婦の戸籍上の同氏を堅持していきたい」と述べるなど旗振り役となっていました。
◆岸田首相が呼びかけ人の賛成派議連もあるのに…
ただし2021年3月25日には「選択的夫婦別姓」の導入を目指す自民党の議員連盟が発足し、設立総会も行われています。
自民党の全派閥横断型議連であるこの「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」は岸田首相や野田聖子幹事長代行、小渕優子元経済産業大臣らが呼びかけ人となったもので、100人を超える議員が参加。
岸田首相が呼びかけた100人超の賛成派議連まである中での今回の公約からの削除。見えないところでどのようなやり取りがあったのか、背後にいるのは誰なのか、非常に気になるところです。
◆実際には国民の7割、自民党支持者の過半数が「推進」を容認
なお日本国民の多くは選択的夫婦別姓に賛成しています。2020年10月にインターネットを通じて行われた「選択的夫婦別姓」への賛否を問うアンケートでは、「他の夫婦が同姓でも別姓でもかまわない」として選択的夫婦別姓賛成した人が合計で71%に。
これに対し、「自分は夫婦同姓が良いし他の夫婦も同姓であるべきだ」と反対した人はわずか14%に過ぎず、5倍以上の差を付けられています。
回答の選択肢が独特に見えるかもしれませんが、これはあくまで「選択的夫婦別姓」を問うもの。例えば「自分は夫婦同姓が良いけど、他の夫婦は同姓でも別姓でもかまわない」はという考えは名実ともに賛成意見となります。
加えて自民党支持者でも選択的夫婦別姓への賛成者はこの数年で増加し、今年春の調査では過半数に達するなど、民意は大きく賛成に傾いているのが現状です。
・関連記事
自民「選択的夫婦別姓賛成」議連が発足、その数なんと100人超 | Your News Online
自民党の合同会議、9割が「選択的夫婦別姓推進」原案に反対 | Your News Online
「親子、夫婦は戸籍上の同氏堅持を」選択的夫婦別姓に反対する自民「絆」議連が提言へ | Your News Online