火の代わりに水を使うエコな新埋葬法「Aquamation(アルカリ加水分解葬)」、ノーベル平和賞の司祭が使い話題に



地球環境に優しい、火を使わない新しい埋葬法が話題となっています。詳細は以下から。


◆求められるエコフレンドリーな埋葬法
「生ある者は必ず死あり」は自明ですが、人が死ねばそこには遺体が残されます。そして遺された人々は葬儀を行うことになります。

今後100億人を超えるとされる人類の遺体をどのように弔い、葬るのか。文化によって大きな違いはあるものの、環境への負荷の少ない方法は以前から模索されてきました。


中でも火葬は時に木の棺や防腐剤を用い、多くの土地を占有する土葬よりも環境に優しいとされてきましたが、肉体を骨にまで焼くのに膨大な燃料を必要とし、年間数百万トンにも及ぶ二酸化炭素を排出します。

また火葬の排出物には、うつ病や自殺との関連の指摘されるPM10や、心肺機能の低下や慢性疾患、出産合併症と関わるPM2.5なども含まれています。

整備された火葬場のある国や文化圏もありますが、野外で焼いて川に流すインドのような例を考えればエコと言い切ることは困難です。


◆エコフレンドリーな新埋葬法「Aquamation」はどんな方法?
Aquamationはアルカリ加水分解を用いた遺体の処置法に付けられた名前で、現時点では日本語の訳語は定着していません。直訳すると「水葬」となりますが、用いられるのは水酸化カリウム水溶液です。


Aquamationでは遺体を水酸化カリウム水溶液で満たされた容器の中で加圧して90~150度で加熱します。


加圧されているため沸騰はせず、数時間掛けて有機物がゆっくりと分解されていくことになります。こちらはカナダのCBC Nwesが報じた際の動画です。


Aquamationに必要なエネルギーは火葬の1割程度で、有害物質も排出されません。使用後の液体は塩類やアミノ酸を含んでおり、肥料として利用でき、中和して安全に流すこともできます。


なお遺骨は火葬よりも2割ほど多く残りますが、パウダー状になるとのこと。

◆反アパルトヘイトのノーベル平和賞受賞者が使い話題に
このAquamationが話題になったのは2021年12月26日に死去した、南アフリカ共和国の反アパルトヘイト人権活動家で神学者のデズモンド・ツツ大主教が採用したため。

ノーベル平和賞も受章したツツ大主教は最も安い棺を使った簡素な葬儀を求める遺志を示しており、環境に優しいAquamationも自ら指定していました。


この選択はワシントンポスト紙やガーティアン紙、インディアンエクスプレス紙なども取り上げ、Aquamationの存在が世界的な話題に。

90歳で死去したツツ大主教は人生の最期に、人類に向けてエコフレンドリーな新埋葬法を提案して去って行ったことになります。

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