あのDMM.comがウェブトゥーンのスタジオを開設する。漫画史上においてこれはどんな意味を持つのでしょうか。詳細は以下から。
◆DMMがウェブトゥーンのスタジオを設立
合同会社DMM.comが2022年1月1日、ウェブトゥーンと通称されるウェブ縦読みマンガなどの電子書籍オリジナルコンテンツを企画制作事するスタジオ「株式会社GIGATOON Studio」を設立しました。
そして3月1日にGIGATOON Studioのコーポレートサイトをオープンしたとするプレスリリースを公開しています。
DMMは会員数が3545万人にのぼる総合エンタメプラットフォーム「DMM.com」で40以上のサービスを展開しており、GIGATOON Studioもこれまでのノウハウを活かしてオリジナルコンテンツを企画制作するとのこと。
現時点で数十作品を開発しており、『復讐の赤線』のユーナ株式会社や『全裸監督』のプロデューサーたちばな やすひと(Nemeton)氏と組んだ作品も準備中とされています。
◆ウェブトゥーンとはそもそも何なのか
ウェブトゥーンは韓国発のスマホやタブレットでの閲覧を前提とした縦スクロールの電子版限定の作品で、多くの場合はフルカラーで作成されています。
まだ歴史が浅いものの、「梨泰院クラス」のようにNetflixでドラマ化されて全世界配信され、日本でも話題となるような作品も登場しています。
この「梨泰院クラス」の原作は日本ではローカライズされて「六本木クラス」として配信中。ウェブ広告などで見かけた方もいるのではないでしょうか。
また大人気だった「イカゲーム」に続き、初登場でNetflix全世界ランキング1位の視聴時間を記録した韓国発ドラマ「地獄が呼んでいる」も原作はウェブトゥーンの「地獄」という作品。
日本での認知度はまだまだ低いものの、現在はLINEマンガやピッコマ、comicoなどの漫画サイトでじわじわと人気を広げています。
◆「マンガの先」にあるウェブトゥーンという未来
プレスリリースではGIGATOON Studioのミッションとして「マンガの先をつくる」というフレーズが掲げていますが、ウェブトゥーンを真っ先に挙げているのにはこうした背景があります。
その中で「従来の漫画家型の制作システム(いわゆる漫画家+編集者)ではなく、漫画クリエイター以外の方でも漫画制作に参加可能な制作システムの構築にチャレンジしていきます」としていますが、この制作システムはまさにウェブトゥーンが採用しているもの。
映像作品などへの展開も含め、日本発のウェブトゥーンを作り上げていこうという意図がはっきりと示された形となります。
従来のマンガのファンからは受け入れられにくい可能性もありますが、Netflixなどでの全世界に向けた映像化と、その反響としての原作へのアクセスを考えればビジネスモデルとして有望なことは言うまでもありません。
アイドルや音楽、映画やドラマなど世界的な躍進の著しい韓国カルチャー。日本のお家芸だったマンガの発展形として韓国のウェブトゥーンをDMMが採用するのは皮肉な話とも言えそう。
これからマンガを志す人は、ウェブトゥーンの執筆も含めて将来像を描いてみてもよいのかもしれません。
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