細胞を「若返らせる」遺伝子治療、マウスでの実験に成功



不老不死という人間の究極の願いへの第一歩となるのでしょうか。詳細は以下から。


ジャーナル「Nature Aging」に掲載された最新の研究によると、細胞に遺伝子治療を施し、老化のスピードを遅らせる動物実験に成功したそうです。

しかも副作用はなく、一生に渡って動物の老化スピードを遅らせられることをマウスを使った実験で確認したとしています。

細胞は時と共にエピジェネティックマーカーと呼ばれる老化の兆候を示しますが、これはノーベル賞を受賞した山中伸弥教授が発見した「山中因子」と呼ばれる特殊な遺伝子を用いてリセットすることが可能です。


山中因子によってマーカーがリセットされると細胞は元来の状態に戻り、事実上時計の針を逆戻りさせることができるのです。

実験では3つの年齢の異なるマウスのグループに一定の間隔をおいて山中因子を注入し、若返りを試みました。


山中因子を注入されなかった対照実験グループと比較すると、マウスたちの皮膚の細胞の再生能力は向上し、傷も目立たなくなるなど、より若いマウスに近い状態になりました。この間健康や行動、体重などに悪い影響は一切見られなかったとのこと。

また血液検査でも通常起こり得る老化の兆候が見られませんでした。こうした効果は7~10ヶ月、人間で言えば15年分ほど山中因子を注入されたマウスで最も大きくなりました。

ただし、これらが単に老化を遅らせているのか、本当に細胞を若返らせたかについてはまだまだ研究が必要です。

加えて、人間はマウスに比べて寿命が長いため、山中因子の注入が細胞に変異を引き起こし、後々がんになる危険性もあるとのこと。


若返りからの永遠の命という人間の究極の野望にも繋がる研究ですが、まだまだ先は長い上に、少なからぬリスクも背負うことになりそうです。

なお、現時点でもアルツハイマー病や骨粗しょう症などの老化に関わる病気の治療への有効性が期待されており、より現実的な着地を迎えるのかもしれません。
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