給付型奨学金拡充、所得上限600万円、子供3人以上、理工農学系など限定まみれに



どれだけの給付対象がいるのか疑問符が付くレベルの制限だらけとなっています。詳細は以下から。


政府「教育未来創造会議」が2022年5月にまとめる提言に、中間層世帯の大学生らを対象とする新たな修学支援が盛り込まれることを読売新聞が報じています。

既存の給付型奨学金や授業料減免の支援制度が拡充され、世帯年収380万~600万円の家庭への支援を新設されることになります。

ただし問題は、上限600万円の所得制限だけでなく、理工農学部系の学生や子ども3 人以上の多子世帯であることが条件となっている点です。

夫婦の出生子ども数分布の推移を見ると、2015年時点で3人以上は11.7%と1割程度でしかありません。


子育て世代には改めて指摘するまでもありませんが、年収600万円以下で3人の子供を育てるのは困難なもの。この状態での大学進学は、本人に高い能力があっても容易なことではありません。

しかも新たな制度での支給額は、全額支援の4分の1程度にとどまる見込みとのこと。運良く進学して支援を受けられたとしても、残りの学費などを支払うために学資ローンを組んだり、日々アルバイトに明け暮れるハメになります。

なお、岸田首相は3月の教育未来創造会議で、学生が就職後に一定の年収に達してから返済させる「出世払い」方式の、奨学金制度という名の新たな学資ローン創設の検討を指示していました。

「親ガチャ」議論もありましたが、実家に豊かな経済力がない限り、学生が大学卒業後に借金を払い続ける現状は変わりそうにありません。

外国人留学生にも給付金10万円支給」が報じられ、岸田首相が留学生を「わが国の宝」と呼んだ際には、日本の学生こそがわが国の宝だと大きな反発がありました。

わが国の宝のはずの日本人学生に対するこの仕打ちには、さらなる反発がありそうです。
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