【コラム】赤松健氏「現実で、マンガが戦争を助長したとか、殺人を奨励したなんて話は聞いたことがありません」→大量に存在していました



漫画「月曜日のたわわ」の日経新聞への全面広告が国連女性機関に抗議された件に対し、漫画家で参議院選挙での自民党公認候補の赤松健氏が反論しました。

ですがその中で漫画家として極めて残念な認識不足が露呈してしまっています。

◆「月曜日のたわわ」全面広告問題とは
問題の発端は漫画「月曜日のたわわ」の全面広告が4月4日の日本経済新聞に掲載されたことにあります。

この漫画はコミックナタリーによると「ヤングマガジン(講談社)で連載中の「月曜日のたわわ」は、月曜日が憂鬱な社会人に向け、豊満な体型をした女子を中心に描かれるショート作品」とのこと。

広告では巨乳女子高生が上目遣いで「今週も素敵な一週間になりますように。」と語りかけており、掲載誌ヤングマガジン編集部コメントによると、この広告は新入社員の「不安を吹き飛ばし、元気になってもらうため」に掲載されたとしています。

この広告は当然のごとく女性や娘を持つ親世代を中心に炎上。これに対し、一部の表現の自由を掲げる面々が反発するという構図となりました。

論点についてはハフィントンポスト記事「「月曜日のたわわ」全面広告を日経新聞が掲載。専門家が指摘する3つの問題点とは?」などで既に詳しく指摘されているためここでは敢えて触れません。

問題が激化したのは国連女性機関(UN Women)が女子高生を性的搾取する危険があるとして、日経新聞に正式に抗議書面を送付したことが判明したため。

国連女性機関は日経新聞に対し、対外的な公式の説明や、広告の掲載の可否を決めるプロセスの見直しなどを求めたとのこと。

抗議の理由は、日経新聞が国連女性機関日本事務所を中心とした、広告によってジェンダー平等を推進する「アンステレオタイプアライアンス」にFOUNDING MEMBERとして加盟しているためです。


つまり「社会から有害なステレオタイプを撤廃することを目的としたアライアンスに筆頭として加盟しながら、あの広告はいかがなものか」という当然の抗議です。

◆赤松健氏がnoteで残念すぎる知識不足を披露してしまう
ですが、この抗議に対して表現の自由を掲げる面々はさらにヒートアップしてしまいます。

その中で、漫画家で今年夏の参議院選挙に自民党から公認候補として立候補する赤松健氏がnoteで思いの丈をぶちまけましたが、漫画家として致命的な知識不足を披露することになってしまいました。

問題の赤松健氏のnoteは「国連女性機関による「月曜日のたわわ」全面広告への抗議表明について」というもの。

まず赤松氏は「「アンステレオタイプアライアンス」加盟規約違反に基づく広告掲載基準の見直しの要求は表現規制ではないか?」とし、国連女性機関の抗議が表現規制との認識を示しています。

「現在掲載すべきでない広告が掲載されている」というメッセージを含んだ新聞広告の掲載基準の見直し要求について、これのどこが「制限」(=表現規制)にあたらないというのでしょうか。


としていますが、そもそも「「制限」(=表現規制)」という時点で大きな間違い。表現規制とは、憲法で定められた表現の自由に対する規制であり、当然ながら法令や条例によって行われるものを指します。

表現規制には著作権法を筆頭とした知的財産法や、刑法、児童ポルノ禁止法、青少年健全育成条例などがあり、近年ではヘイトスピーチ解消法などが挙げられます。

つまり、国や地方自治体がそこに住む個人や法人を相手に施行した法令や条例のなかで、表現の自由を制限するものが表現規制というわけです。

本件については、日経新聞が自らの意思でFOUNDING MEMBERとして加盟したアンステレオタイプアライアンスに反しているとの抗議を受けたに過ぎません。

これは日経新聞として表現に一定の制限はかかるものの、いかなる意味でも表現規制ではありません

さらに赤松氏は「現実で、マンガが戦争を助長したとか、殺人を奨励したなんて話は聞いたことがありません」とブチ上げますが、こちらは完全なる知識不足です。

たとえば文春オンラインの「人気まんが家が“戦争”に協力していた? 日本が戦時下に行った「文化工作」の実態とは」とする記事で詳しく触れられていますが、「のらくろ」シリーズ作者の田河水泡が戦争協力していたことは有名です。

また大日本帝国の海軍省による「桃太郎の海鷲」「桃太郎海の神兵」という長編アニメ映画も存在しています。


また横山隆一の人気キャラクター、フクちゃんを用いた「フクチヤンの潜水艦」も海軍省によるプロパガンダアニメ作品のひとつ。


桃太郎とミッキーマウスが戦う作品も。


もちろんこうしたプロパガンダアニメ作品は日本だけの物ではありません。アメリカではスーパーマンがメガネで出っ歯の日本人の操る爆撃機から祖国を守る作品も。


こちらの作品ではドナルドダックが日本軍と戦います。


こちらはナチスドイツとヒトラーをおちょくったもの。


一方のナチスドイツもミッキーマウスやポパイなど、アメリカのキャラクターを適役にした作品を作っています。


こちらは旧ソ連が対ナチスの戦意高揚に作った作品です。


このように、漫画やアニメは第二次世界大戦の時点で連合国、枢軸国のいずれもがプロパガンダのために採用しており、「マンガが戦争を助長した」どころではなかったというのが事実です。

赤松氏は記事を「不当な表現規制に対しては断固反対していく」と結んでいますが、表現規制とはなにかについて、また創作物の持つ影響力についてあまりにも認識が不足していることが露呈されています。

自民党政治家として当選した際、はたして赤松氏は正しく表現規制を扱うことができるのでしょうか。
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