【中抜き】尼崎USB紛失事件、なくしたのは「再々々委託先」社員でした



尼崎市で発生した全住民の個人情報入りUSBの紛失。実は多重委託の末端で起きた事件という、現代日本の働き方の象徴する出来事だったことが判明しました。

低賃金劣悪待遇の恒常化が問題となる多重下請け、多重委託が改善するきっかけとなるでしょうか。


紛失は再々々委託先社員

日経新聞社によると、兵庫県尼崎市の全市民約46万人の個人情報入りUSBメモリーが一時紛失した問題について、市から業務委託されていた情報サービス会社「BIPROGY」が6月26日、紛失したのは「再委託先の社員」としてきた説明を訂正しました。

実際に紛失したのは、BIPROGYの再委託先からさらに委託を受けた企業の社員だったとのことです。

BIPROGYは再々委託先の社名は「規模からも個人の特定につながる可能性がある」として明らかにせず「あくまでも責任は弊社にある。重ねておわびする」としています。

一連の問題について、尼崎市は外部の有識者で構成した第三者委員会を設置し、原因究明や再発防止策の検討を進める方針とのこと。

多重委託という現代日本の象徴

「地方自治体が民間委託した企業の再々委託先」という、現代日本を象徴するような多重委託の末端の社員によって引き起こされたこの事件。

こうしたケースでは委託されるたびにいわゆる「中抜き」が行われ、末端での低賃金劣悪待遇もしばしば問題になっています。

果たしてその末端の社員の賃金や待遇が大量の個人情報を託すに値するほどのものだったのか、大きな注目が集まりそうです。

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