台湾人5000人がカンボジアで人身売買され奴隷労働に、「高賃金・好待遇」謳う中国マフィアの詐欺で



カンボジアで発生しているとされてきた人身売買ですが、この度台湾当局が数千人単位の台湾人が人身売買の被害に遭い、カンボジア国内で極めて苛烈な奴隷労働を強いられていることを告発しました。

現時点で日本人の被害の話は出ていませんが、アンコールワット遺跡などでなじみの深いこの国での人身売買は決して他人事とは言えなそうです。


カンボジアで外国人の人身売買が数千人単位で横行

海外紙The Diplomatの報道によると、台湾当局は人身売買の被害を訴える声の増加を受け、飛行機の登場記録をもとにした調査を実施し、月間1000人の台湾人がカンボジアに旅行し、平均して100人しか帰国していないことを明らかにしました。

この調査を元に、当局と政治家らは最低でも2000人の台湾人が自らの意思に反してカンボジア国内に留められていると指摘しています。

ただしデータに死角があることを考えると、人身売買された台湾人の総数は5000人にも達する恐れがあるとのこと。これは以前の調査での数百名規模との想定をはるかに上回ることが明らかになってきました。


なお、2022年3月には、インドネシア、ベトナム、タイ、パキスタン、中国の5ヶ国の大使館がカンボジアでの「強制労働、奴隷化、拷問の危険」を警告しており、これに35の組織がカンボジア政府にこの事態の緊急対応を求めていました。

続く4月にはマレーシアがこれに加わり、人身売買への対応を地元警察に求めています。

人身売買の被害者は特殊詐欺に加担させられていた

人身売買された外国人は、主にカンボジア南部のシアヌークビルという中国資本が大量に流入して無法地帯と化している街の近郊で犯罪に加担させられています。


その方法は「ボイラールーム」と呼ばれる株式詐欺で、電話による人海戦術で主に高齢者を狙って外貨や株などの商品を言葉巧みに売りつけるもの。


かつては英語を話す欧米人によって行われていましたが、現在は中国マフィアが中国語話者を相手として行っており、台湾人達はその電話要員として奴隷労働に従事させられます。

その「労働」環境は極めて劣悪なもので、殴打や電気刺激による拷問は日常茶飯事であると逃亡した被害者は証言しています。通常は無傷で脱出が困難な3階か4階の部屋に閉じ込められているとのこと。

解放には数千ドルの身代金を要求され、家族に対して支払を求められ、場合によっては人身売買の対象とされます。


Pipさんという台湾人女性はカンボジアでの高賃金の仕事に応募しましたが、カンボジア到着直後に工業団地に閉じ込められ、7日間のうちに4階も売られました。彼女はその後カンボジアの州知事や反詐欺団体の手助けで脱出することができたといいます。

今回の詐欺の被害者は従来のような、性産業や漁船に売られる農村部の貧しくて教育を受けていない若者ではありません。

被害に遭っているのは教育を受け、技術を持ち、意欲にあふれた賢い中間層の若者や未成年者たちです。彼らはいわゆる「うまい話」での一儲けの誘いに載せられて犯罪に巻き込まれた形といえます。

日本人の関わる海外での詐欺事件も

日本でも振り込め詐欺やコロナ禍での給付金詐欺に若者が巻き込まれているケースが少なからず報じられています。

犯罪が露見しにくい海外での振り込め詐欺は、2019年にタイで日本人15人が逮捕される事件がありました。


今回は中国マフィアが中国人の富裕な高齢者を狙ったことから数千人単位での台湾人が人身売買されましたが、対象が日本であれば同様に大勢の日本人が似た手口で集められる可能性があります。

「うまい話」には常に注意が必要ですが、脱出の困難な「海外でのうまい話」には特に気を付ける必要がありそうです。

・関連記事
「外国人技能実習生の強制労働」への対応不十分、米国務省が人身売買報告書で日本の評価を引き下げ | Your News Online

NHKノーナレの報じた「実習生奴隷化企業」、結局今治タオル工業組合の下請けでした | Your News Online

事実上の移民受け入れへ、日本で外国人の就労が「無期限」に | Your News Online