【コラム】「教員免許、最短2年」の特例はなぜ見当違いなのか



著しい教員不足に悩まされている日本の学校教育現場ですが、文科省の対策がまたもや明後日の方向を向いているようです。

教員免許、最短2年で取得可能に



日本教育新聞によると、文部科学省が9月9日、教員の養成・採用・研修の改善について議論する中央教育審議会の特別部会において、特例で教員免許を最短2年間で取得できる教職課程を設ける方針を示しました。

これは免許取得の負担を減らし、大学時代に教職以外の経験や専門も身に付けてもらう狙いがあるとのことです。

歯止めの掛からない教員不足の歯止めになる?



教員不足に歯止めが掛からないという話は子供のいる家庭では一度は話題に上ったことがあるでしょう。

実際に全日本教職員組合が2022年に行った調査では、19の都道府県と4つの政令指定都市の公立小中高校と特別支援学校で、少なくとも1,020人が不足しているという結果に。

またNHKが同時期に道府県や政令指定都市など全国68の教育委員会を対象に行った調査では、5月時点で小学校で1487人、中学校では778人、高校で214人、特別支援学校で321人が不足。合計は2800人にのぼりました。

これらの調査は対象や方法に差がありますが、全国規模で四桁レベルの教員不足が発生していることが分かります。

志すには「ブラック」過ぎる教員の待遇


教員不足を解消できなければ、日本の教育の状況が好転することはありません。

当然ながら、不十分な教育しか与えられなければ、日本の未来は極めて暗いものとなります。

教員不足のもっとも大きな原因とされているのが、いわゆる「定額使い放題制」とも揶揄される「給特法」です。

これは月給の4%が上乗せされる代わりに、残業や休日出勤などの時間外勤務の手当が出なくなるという、教員だけに適用される極めて評判の悪い法律です。

教員は授業だけでなく、部活動や授業の準備、採点などをはじめとした事務仕事、児童生徒や保護者からの相談など、形の定まらない多種多様な業務を負っています。

これら自体も「教師はブラック」と呼ばれる原因ですが、そうしたブラックな働き方に対価すら出ないのが現実というわけです。

そうした状況が知れ渡っている中で、敢えて教師という道を選ぶ人が減るのは火を見るよりも明らかです。

つまり、教師になるための間口をどれだけ広くしようと、入ろうと思う人がいなければ無駄な話です。

実際には、教員免許を持っていながらも教師として働こうと思わない人が大勢いるのが現状です。

有資格者が働きたいと思えるような職場の環境や賃金、待遇でなければ、新規の教員免許取得者が増える理由はありません。

部活動や事務作業の一部を外注し、時間外勤務に対してしっかりと手当を出す。これだけで教員の志望者が大きく増えることは間違いありません。

・関連記事

【追記】文科省の「 #教師のバトン 」プロジェクトで教育現場のブラック事案が大拡散→萩生田文科相「もう少し品の良い書き方を」 | Your News Online

体罰禁止を明示、民法から子どもへの「懲戒権」削除へ | Your News Online

よい教育は生涯に渡り脳の老化を防ぐ、長期研究で判明 | Your News Online