体罰禁止を明示、民法から子どもへの「懲戒権」削除へ



愛のムチ、教育的指導として長く日本社会で認められてきた子どもへの体罰がついに民法上でも禁止されます。詳細は以下から。


読売新聞社によると、法制審議会の担当部会が、親が子を戒めることを認める民法の「懲戒権」の規定を削除し、体罰の禁止を明示する規定を盛り込む方針を固めたそうです。

民法の懲戒権規定では相次いだ児童虐待死事件をきっかけに、法務省が見直しの本格検討を始めており、19年6月には、親が「児童のしつけに際して体罰を加えてはならない」と定めた改正児童虐待防止法が成立していました。


同法の付則で、法施行後2年をめどに懲戒権のあり方を検討するとされており、これを受けて2月上旬の担当部会合で要綱案を確定し、法制審の総会で決定する方向です。

規定の見直しで親から子どもへの体罰や、精神的に追い詰める行為が正当なしつけではないと明確にするとしています。


政府は1月17日召集予定の通常国会での民法改正案提出を視野に入れており、どこまで議論が進むのかが注目されます。

懲戒権について民法822条は「親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる」と規定。

民法(親子法制)部会は、これは体罰を認める規定ではないとしつつも「児童虐待を正当化する口実に利用されているとの指摘があった」ことを認めています。

要綱案では、同規定を削除した上で「監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、子の年齢及び発達の程度に配慮しなければならない」と明記。

しつけの際の親の行動規範を示したうえで親から子どもへの「体罰」や「心身に有害な影響を及ぼす言動」を禁止する規定を盛り込む方針とのことです。

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