国葬反対派のSNS投稿の8割は大陸からのものだとした自民党県議の投稿が物議となりましたが、その根拠が崩れてしまいました。
下手をすれば外交問題にもなりかねないデマの吹聴となります。
自民党県議」が「国葬反対のSNS投稿の8割は隣の大陸から」発言で物議に
問題となっているのは三重県の自民党所属、小林貴虎県議の発言です。小林県議は10月2日、自身のTwitterで「国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだった」とする分析について投稿しました。
国葬反対のSNS発信の
— 小林貴虎 (@eternalhigh) October 2, 2022
8割が
隣の大陸からだったという分析が出ているという。
今日の講演で伺った話。
ソースは以前三重の政治大学院でもご講演頂いた事のある現職。
この投稿は10月5日12時30分現在で1000回以上リツイートされ、1万以上のいいねが付いています。
東京新聞の取材によると、ツイートにあった「隣の大陸」は中国を指しています。
ソースを現職議員の講演としていることから、このツイートは大きな話題を呼び、当然明らかにされていないソースを問う声が噴出します。
これに対して小林県議は自民党の経済安全保障担当大臣の名前を挙げ、政府の調査結果として伝えられたことを明らかにしました。
さて
— 小林貴虎 (@eternalhigh) October 4, 2022
皆さん非常に関心が高い様なのでお答えすることにしました。
私が総理大臣になって頂きたいと強く願っている高市早苗先生が、政府の調査結果としてお伝えいただいた内容です。
ウクライナ戦争で明らかになった様に情報戦争の時代です。
我が国も安全保障上取り組むべき課題だと言うお話でした。 https://t.co/YliRXy2Nhx
つまり小林県議の言葉が正しければ、日本政府の公式な調査の結果として「国葬に反対するSNS投稿の8割が中国で行われたもの」だと与党の経済安全保障担当大臣が明言したことになります。
実際に中国でそれだけ大規模な投稿による世論の捏造が行われていたとすれば、2016年の米大統領選挙時にロシアがアメリカ国内向けに行った一連のネット工作にも匹敵する情報操作です。
高市大臣は発言も調査も否定
しかし、高市大臣は毎日新聞の取材に「日本政府が情報操作に関して調査した旨の発言は、私からはありません」と回答。
また自身のツイッターでも「不正確な情報が」とした上で「日本には情報操作(偽情報)対策の法律が無いので、政府が調査をすることは出来ません」と明言しました。
腕の耐え難い痛みでMRI検査を受けている間に、不正確な情報が。日本には情報操作(偽情報)対策の法律が無いので、政府が調査をすることは出来ません。海外機関による調査情報の収集は可能ですが。国防上の懸念もあり、法整備検討の必要性は3年前に党から提案しました。
— 高市早苗 (@takaichi_sanae) October 4, 2022
高市大臣は、そもそも政府が中国のSNSの投稿に対して調査をすること自体が不可能とした上で、自身も調査に関する発言をしていないとしています。
小林県議と高市大臣の主張は真っ向から食い違っており、どちらかの発言が嘘ということになります。
高市大臣の発言が正しい場合、小林県議は自らも所属する与党の大臣の発言を捏造したことになります。またその捏造された内容は、日本政府が「中国で日本に対するネット上での世論工作が行われた」と公式に確認したとするものです。
この場合、小林県議は自党の大臣を巻き込み、場合によっては外交問題にも発展しかねないデマを吹聴したことになってしまいます。
アウティングやヘイトスピーチ、陰謀論の過去も
小林県議といえば、2021年には三重県内の同性カップルの住所と氏名をアウティングして全国的な非難を受けました。
また過去にはバイデン政権を「チャイナの工作の結果出来上がった新政権」とする陰謀論も投稿していました。
また小林県議のTwitterでの「ヘイトニダー」とのヘイトスピーチに対し、に三重県議会の中嶋年規議長は「一部の国や民族、特定の国籍の外国人らを排斥する不当な差別的言動は決して許されるものではない」との声明を、正副議長名で発表しました。
小林県議の所属する自民党県議団の中森博文団長も「厳しく対応したい」との姿勢を示し、小林県議は「軽率だった」と認めて投稿を削除しています。
統一教会との関係も
それだけでなく、小林県議には統一教会との繋がりも取り沙汰されています。
小林県議の過去として興味深いのは、小林県議の当選前の2010年8月30日のブログ記事(現在削除済み・魚拓)のとある記述です。
津市の市民清掃デーに「多文化共生清掃活動」を行うというビラで、連絡先の小林氏の名前の下に「Universal Peace Federation」の文字が見られます。
この組織は公式サイトによると「国連経済社会理事会の総合協議資格(カテゴリー1)を有する国際NGO団体」で、「2005年9月、文鮮明・韓鶴子総裁夫妻によって、米ニューヨークで創設」された組織です。
文鮮明は今話題の統一教会の教祖であり、この団体が統一教会の国連NGOとして仮の姿であることが分かります。
上記ブログの翌日のポスト(魚拓)のコメント欄のやり取りで小林氏は「私は個人的な信仰を持っています」と明言しています。
またUniversal Peace Federationの英語サイト上の「Day of Peace in Tokyo, Japan」という2010年の記事では、小林氏の上記清掃活動が報告されたことが記述されています。
同サイトの「Day of Families Observed in Tokyo」とする2011年の記事には小林氏の写真が掲載され、Universal Peace Federation Japanで5年間働いたのちに議員に当選したことが記されています。
これは小林議員公式サイトのプロフィールにある「NGOにて5年間ボランティア活動を行う」という記述とも一致します。
これらの記載が正しければ、小林県議は統一教会の教祖、文鮮明と現在のトップである韓鶴子が創設した統一教会のフロント組織「Universal Peace Federation Japan」で5年間働いた後に自民党県議となったことになります。
・関連記事
【追記あり】同性カップルの住所氏名をブログで晒し上げた自民・小林貴虎三重県議の過去の発言をご覧ください | Your News Online
【コラム】安倍晋三前首相が韓国発カルト「統一教会」巨大イベントで演説、トランプ前大統領まで登場した経緯と歴史 | Your News Online
安倍首相が立ち上げた「日中歴史共同研究」が南京大虐殺を正式に認めていました | Your News Online