愛知県の大村知事リコール運動に絡む偽造署名問題で、署名偽造を行ったバイトへの支出が1円もないとリコールの会の田中事務局長が明言しています。
佐賀県での署名偽造バイトには実際に賃金が支払われているわけですが、いったいどこから出てきたということになるのでしょうか…。詳細は以下から。
◆署名偽造への支出はゼロ、関与なしと明言
高須クリニックの高須克弥院長と名古屋市の河村たかし市長らが主導した大村秀章愛知県知事に対するリコール運動。その事務局が3月30日、愛知県選管に政治資金収支報告書を提出しました。
提出後に元維新の会の予定候補だった田中孝博事務局長が会見を行い、クラウドファンディングや高須克弥代表からの1200万円の借入金で6100万円の収入、署名簿や呼びかけ用はがきの郵送費や印刷費、事務所費などで約5700万円を支出と説明。
その上で、田中事務局長は署名偽造した広告会社への支出が含まれていないかとの問いに「お答えは控えさせていただきます」と回答を拒否。
その上で「僕の記憶では(支出に)1円も入っていない」としています。
加えて署名偽造への関与を問われると「事務局として、リコールの会として関わったことは絶対ありません」と明言しました。
中日新聞による会見の動画は以下から。
◆実際には事務局幹部が474万6500円で発注
とはいえ偽造バイトの賃金は支払われており、必ずどこからか金が流れていることには間違いありません。いったいそれはどこから出たどんな金なのでしょうか。
2月末の段階で、リコールの会の事務局幹部が署名偽造を広告会社に依頼した発注書について、今年に入ってから繰り返し返還を求めていたことが同社への取材で判明したことを朝日新聞が報じています。
広告会社の関係者によると、問題となっている発注書は「整理業務スタッフ手配代行」という名目で事務局幹部の個人名で出されており、10月19日付で額面は474万6500円。
なお、CBCテレビによると、発注書には「代筆行為について、事前に代筆元(書き写される名前の人)に対して発注者(事務局)が代筆する旨の了解を得ていることを確認する」と記載されていました。
発注書からは「整理業務」の内容が「代筆行為」ということになり、実際に行われた署名偽造と照らし合わせると、事務局が業務内容を把握した上で発注していたということになります。
また東海テレビによると、発注を受けた広告会社の関係者は、今年に入ってから事務局幹部から同社幹部に「返してほしい。あれがなければ大丈夫」などと執拗に求めたとのこと。同社幹部は返還に応じず、愛知県警に発注書を任意提出していました。
田中事務局長の言動からは、署名偽造を「個人名で発注した事務局幹部が、自分の財布から金を出したあくまで個人的な犯罪」としてリコールの会から切り離したい思惑も感じられなくもありませんが、そうなると極めて大きな矛盾が生じます。
◆署名偽造を「個人的犯罪」とすると発生する矛盾
まず、佐賀県の署名偽造会場には発注者とは別の事務局メンバーが名簿とリコール署名簿を運び込んでおり、書き写しにも立ち会っています。
つまりこの時点で、幹部を含む複数の事務局関係者が署名偽造に主導的な立場で関与していることになります。ただしこれでも「複数の関係者が事務局やリコールの会とは関係なく勝手にやった」と言い張れるかもしれません。
ですが、この36万人分にも及ぶ偽造署名は段ボールで40~45箱分にも及びます。バイトが10月19日付で発注され、11月4日に偽造が発覚していることから、この偽造署名簿が紛れ込んだのは10月下旬以降となります。
そしてこの間、高須院長は署名簿を「必死に探ってもムダな場所に安全に保管」していることを繰り返しツイートしています。
つまり保管期間中の署名簿は高須院長ら一握りの関係者しか所在を確認できない状態で、そこに40箱以上の偽造署名簿入り段ボールが突然紛れ込んだことになります。
本物の署名の4倍以上の段ボールが突然「安全な場所」に紛れ込んでいたことに幹部らが「気付きませんでした」という言い訳は当然成り立ちません。
ということで「偽造署名が11月4日の仕分け作業時に発覚する」ためには、これが個人的犯罪だと仮定すると極めて大きな矛盾を抱えることになります。今後偽造署名の紛れ込みと保管に関してどのような説明がなされるのか、まだまだ目が離せません。
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