韓国の尿素水不足が取り沙汰されてきましたが、日本でも尿素水が手に入らない事態となっています。詳細は以下から。
リム情報開発の報道によると、日本でも尿素水が手に入らない「尿素ショック」がすでに発生しているそうです。
この尿素水枯渇が大きな問題となるのがトラックやバスなどを用いる流通・運送業界。車両用尿素水「アドブルー」が、トラックやバスなどの排気ガス浄化技術「尿素SCRシステム」に使用されています。
日本では排ガス規制強化に伴ってシステム搭載が一般的になりましたが、こうした車両は尿素水を補給しなければ、エンジンがかからない仕様となっています。
つまり、尿素水が枯渇すればトラックやバスのエンジンがかけられず、トラックを使った流通業や各種バス路線が止まってしまうことになります。
原因は中国が原料となる尿素の輸出を規制したこと。この煽りで韓国で尿素が枯渇し、日本からの輸入が激化。ドミノ倒し的に日本でも枯渇し始めています。
背景にあるのは原料となる天然ガスや石炭価格の世界的な高騰。西欧コストが大幅に上がって採算が悪化し、尿素メーカーの工場の停止が相次いでいます。これに尿素の最大生産国の中国だけでなくロシアやエジプトなども相次いで輸出を規制し、供給が急速に悪化しました。
現在尿素の輸入価格は前年比4倍の1トン1000ドル近くと過去最高を更新していますが、それでも「手に入ればマシ」状態とのことです。
なお、リム情報開発は「日本の尿素水は8割国産だから品薄にならない」という言説は誤解だと指摘。尿素の元となるアンモニアは8割国産ではあるものの、農業用肥料など尿素以外の用途も多く、すべてが尿素水に加工されるわけではありません。
アドブルーに試用される分だけでも現在5割程度は輸入尿素を用いており、中国からの輸入が止まれば「尿素水のおよそ4割が自国で生産できなくなる」とのこと。
トラックやバスの4割がまともに稼働できなくなれば、国内の流通や運送に極めて大きな支障が出ることは間違いなく、決して韓国の「対岸の火事」ではありません。
流通が滞った時のため、今のうちから日用品や保存食品などはある程度揃えておいた方がよいかもしれません。
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