容量2倍、充電時間半分、寿命1.5倍になる上に安価な「3Dバッテリー」開発、EV業界には革命でもFCV(燃料電池車)には致命傷か



どんな化学物質を使ったバッテリーにも応用できる画期的な構造が技術のコアという3Dバッテリーが開発されています。

EV業界を筆頭にあらゆる電池に革命を起こす可能性もありますが、水素電池車には大ダメージとなりそうです。詳細は以下から。


海外メディアによると、イスラエルのスタートアップAddionics社が容量や充電時間、寿命などの問題を一気に解決する3次元構造のバッテリーを開発したそうです。


同社によるとこの「3Dバッテリー」では容量が従来の2倍になり充電時間は半分に、そして寿命は1.5倍にまでのびるとのこと。


3次元構造という表現からバッテリーサイズに影響しそうに聞こえますが、同社のマーケティングディレクターGilad Fisher氏によると「クライアントの望む薄さでつくることができる」とのこと。


さらに、電池に使われる化学物質がどんなものであれ、この3次元構造を応用することができるとしているため、多くの電池に使える技術となっています。

また使用する物質やレイヤーなどを減らせることから、大量生産時にはこれまでのバッテリーより安価に販売することができるとのこと。価格の観点からもブレイクスルーとなる可能性があります。

現在3Dバッテリーは主にLFP電池(リン酸鉄リチウムイオン電池)などに向け開発されていますが、次世代バッテリーとして有望視されている全固体電池シリコン負極も対象となっています。

現在Addionics社は主にEV(電気自動車)市場をターゲットとし、すでに世界トップの数社とコラボレーションを実施。今回の発表はEVのボトルネックだったバッテリー問題を大きく改善させることとなり、さらなる市場拡大への大きな一歩ともなりそうです。


なお同社は消費者向け家電製品業界などとも提携を始めており、この構造のリチウムイオンポリマー電池の開発も始めています。



なおこの3Dバッテリーの影響を最も強く受けると思われるのが、日本政府やトヨタなどが強烈に推す水素を燃料としたFCV(燃料電池車)業界。EVの最も大きな問題だったバッテリーが容量から充電時間、寿命までが大幅に改善された上にコスパもよくなるため、利便性が大きく向上することが予想されます。


そうなれば、すでに普及率で大きく差を付けられているFCVが巻き返せるチャンスはさらに小さくなります。将来振り返った時に、ここが勝負の分かれ目だった…ということになるかもしれません。

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