便利さやメリットの話の多いマイナンバーカードの保険証利用。ですが今後は患者の自己負担が発生することになりました。詳細は以下から。
◆「マイナ保険証」で患者の自己負担発生へ
日本経済新聞社の報道によると、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる「マイナ保険証」を使うと、2022年4月から患者の支払う負担が発生するそうです。
マイナ保険証は2021年10月から本格運用が始まった制度のため、診療報酬上の位置づけが未定で、これまでは医療機関側が必要経費をおおむね負担してきました。
それが今回の改定で診療報酬上の料金体系にマイナ保険証への対応が組み込まれることになりました。
◆1回分は少額でも、原資は私たちの支払った保険料
2022年4月から薬や健診の情報を取得して診療する場合に、月に一度初診で70円、再診で40円、薬局での調剤時で30円がかかることになります。
患者の自己負担額は保険証が3割負担の場合でそれぞれ21円、12円、9円となります。
加えてマイナ保険証を読み取る専用の機器を設置し、システム対応ができている医療機関では、2024年3月末までは通常の健康保険証で受診しても30円(患者負担3割で9円)が発生する規定も盛り込まれました。
つまりマイナ保険証対応の病院や薬局では、紙の保険証を使ってもシステム分の料金が上乗せされることになります。
1回ずつは少額でも、基礎疾患などで定期的に通院する人にはじわじわとのしかかるもの。また当然ながら、患者負担分以外は私たちが日々払い続けている健康保険から支払われています。
高齢化で医療費が膨れ上がる中で、大勢のマイナ保険証対応費用が上積みされていくことになることは間違いありません。
◆2年前は「2円の手数料」が問題も、倍増どころではない状況に
なお、日経新聞社は2020年2月には「マイナンバーカード普及に2円の壁 保険証に手数料」とした記事を掲載。
マイナ保険証を使う場合に、電子証明書として有効か確認する際の2円の手数料が普及の壁となるとする内容です。記事では
日本の人口は約1.2億人。経済協力開発機構(OECD)によると、1人あたりの平均受診回数は年12.6回だ。加盟国で韓国に次ぎ2番目に多い。延べ15億人が1年間で受診している計算だ。仮に保険証が全てマイナンバーカードに置き換わるとすると、手数料は総額で年30億円にのぼる。
(マイナンバーカード普及に2円の壁 保険証に手数料より引用)
としていますが、これを大きく超える負担が医療費に重くのしかかってくることになります。
日経新聞社はマイナ保険証のメリットを「受診時の受け付けで本人確認が素早くなり、待ち時間が短くなる」ことや「過去に処方された薬や特定健診などのデータも連携され、正確なデータに基づいた医療を受けるための入り口になる」としていますが、負担に見合っているかよく考える必要がありそうです。
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