礒崎首相補佐官が本日ツイッターで驚きの珍説を連発して炎上しています。詳細は以下から。
先月ポツダム宣言をつまびらかに読んでいなかったとして日本中に衝撃を走らせた安倍首相をテレビ番組で「ポツダム宣言が一字一句正しいかどうかなんとも言えない」とアクロバティックに擁護したことでさらに大きな衝撃を走らせた礒崎陽輔首相補佐官。本日午前中から信じられないような発言をツイッター上で行って炎上しています。
発言の発端となったのはやはり先日の衆院憲法審査会で集団的自衛権の行使を容認する「戦争法案」が参考人となった3人の憲法学者全員から「違憲である」と明確に断じられたこと。
集団的自衛権行使を認める「戦争法案」、衆院憲法審査会で参考人の憲法学者全員が「違憲」と明言 | Your News Online
この全否定が余程腹に据えかねたのか、礒崎補佐官は6月6日午前中から自身のツイッター上で発言を始めます。最初の妄言は小林節教授に対する反論。
小林教授は、「後方支援は、前から参戦したのか、後ろから参戦したのかの違いだ。」とおっしゃいましたが、後方支援はもとより集団安全保障措置への参加であることは政府も認めています。意味のある発言ではなかったと、考えます。
— 礒崎陽輔 (@isozaki_yousuke) 2015, 6月 6
参戦だから憲法違反だとおっしゃるのであれば、過去唯一の後方支援である9.11後のアフガン戦争における我が国のインド洋上での給油措置も、憲法違反だったとおっしゃるのでしょうか。そうであれば、根本的に考え方が違いますと言うほかはありません。
— 礒崎陽輔 (@isozaki_yousuke) 2015, 6月 6
なんと、
参戦だから憲法違反だとおっしゃるのであれば、過去唯一の後方支援である9.11後のアフガン戦争における我が国のインド洋上での給油措置も、憲法違反だったとおっしゃるのでしょうか
として、アフガン戦争時のインド洋上の給油措置を「参戦」であるとの認識を明言してしまいました。もちろん本当に「参戦」であれば間違いなく憲法違反です。
そして礒崎補佐官はこれまで行われてきた特別措置法による「後方支援」と今後の集団的自衛権の行使を容認する「戦争法案」による「後方支援」を混同しています。
これまでの特別措置法によって派遣された自衛隊が行ってきたインド洋やイラクでの「後方支援」はあくまで「非戦闘地域」に限られたもの。もちろんその「非戦闘地域」の定義の曖昧さにも未だ問題は残りますが、今回の「戦争法案」ではその縛りすらなくなるため、まったく話が違っており同じ次元で論じることはできません。
asahi.com(朝日新聞社):イラク空自違憲の判断 政府の理屈の矛盾突く - イラク情勢
なお、今後の「戦争法案」の下で行われようとしている「非戦闘地域」という縛りをなくした「後方支援」=兵站については、共産党の志位和夫委員長が5月27日の国会質問において「明確に武力行使と一体となり違憲である」という痛烈な批判を既に行っており、現時点で15000いいね!及び8800シェアされています。
小原 美由紀 - 『俺別に共産党に特に肩入れないし、むしろあんまり近づきたくないぐらい思ってるけど、今日の国会答弁の志位さんの力強さっ...
また、国連安全保障理事会の決議に基づく集団安全保障措置は戦争ではなく国際貢献であり、戦争ではないとのアクロバティックな理論を唱え始めます。なお、先に例示したアフガン戦争は集団安全保障措置ではなくアメリカ合衆国の集団的自衛権の発動であるという指摘に対して礒崎補佐官は応えていません。
集団安全保障と集団的自衛権を混同しています。集団安全保障は、国際貢献として行うものであり、自衛の措置ではなく、戦争でもないので「参戦」とは呼びません。 https://t.co/8BHRayhSUg
— 礒崎陽輔 (@isozaki_yousuke) 2015, 6月 6
その流れの中で、驚くべきことに湾岸戦争までもを「もちろん『戦争』ではありません」と断言してしまいました。これは政府見解とも真っ向から対立する珍説。しかもその湾岸戦争においてクウェートやイラクが行ったことは「戦争だった」とするなど、もはや何を言っているのか分からない状態に。
湾岸戦争は、国連安全保障理事会の武力行使容認決議が成立したまれな例ですから、もちろん「戦争」ではありません。ただし、少なくとも、クウェートは個別的自衛権を行使したのですから、そこは戦争であったのでしょう。 https://t.co/01E6KkkY5g
— 礒崎陽輔 (@isozaki_yousuke) 2015, 6月 6
多国籍軍の集団安全保障措置は、「戦争」とは呼ばないと言っているのです。イラクの行為は不当な侵略行為ですから、「戦争」です。歴史家が紛争全体をどう呼ぶかは、私は関知しません。是非前後のコメントも読んでください。 https://t.co/vNsAUbeTpO
— 礒崎陽輔 (@isozaki_yousuke) 2015, 6月 6
挙句の果てには湾岸戦争を「戦争」だとする人とは基本的見解が違うと開き直る始末。自民党内ですらどれだけ基本的見解を同じくする人がいるのか、ある意味見ものです。
戦後日本は、国連を中心とする平和主義を歩んできました。その国連安全保障理事会の決議に基づく国際法違反の侵略国家に対する集団安全保障措置まで、「戦争」だと決めつける皆さんとは、基本的見解が異なりますので、改めて申し上げておきます。
— 礒崎陽輔 (@isozaki_yousuke) 2015, 6月 6
礒崎補佐官の発言と対話については以下のTogetterにまとめられています。
礒崎首相補佐官、市民との論戦で、違憲戦争法案による自衛隊の海外派遣は「参戦」、「湾岸戦争は戦争ではなかった」と公言 - Togetterまとめ
なお、礒崎補佐官といえば本日の一連の発言やポツダム宣言に関するテレビ番組での発言依然にも大きく話題になった発言があります。それが2012年、礒崎補佐官が自民党の憲法起草委員会事務局長を務めていた際のもので、立憲主義を学生時代に聞いたことがないという驚愕すべきもの。そして立憲主義を理解していないという批判を「意味不明」とまで言ってしまっています。
時々、憲法改正草案に対して、「立憲主義」を理解していないという意味不明の批判を頂きます。この言葉は、Wikipediaにも載っていますが、学生時代の憲法講義では聴いたことがありません。昔からある学説なのでしょうか。
— 礒崎陽輔 (@isozaki_yousuke) 2012, 5月 28
(追加あり)立憲主義を知らない自民党「憲法起草」委、事務局長、「礒崎陽輔」議員に関する法律関係者のコメント - Togetterまとめ
まさか憲法起草委員会の事務局長が立憲主義を知らずに憲法草案に携わっていたのかと当時も炎上していましたが、今回の一連の発言と合わせて適正が問われることになりそうです。
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