九州全土を襲っている震災のさなか、稼働を続ける鹿児島県の川内原発の停止を求める署名が4万人を突破し、署名数が伸び続けています。詳細は以下から。
4月14日の熊本での震度7の大地震を「前震」として始まり、現在も九州各地で余震を観測し続けている熊本地震。高速道路をはじめとする多くの道路が寸断され、鉄道も新幹線や多くの在来線が運行できず、支援物資が十分に行き渡らない状況が続いています。
そんな中で、現在日本で唯一稼働中である鹿児島県薩摩川内市の九州電力、川内原発が停止することなく稼働を続けています。丸川珠代原子力防災相は「原子力規制委員会は運転を停止させる必要はないと判断しており、現在も運転を継続している」と述べて停止の必要性を否定。
その根拠として丸川担当相は非常災害対策本部会議で「今回の地震で川内原発において観測された地震動は最大で12.6ガルとなっている」「同発電所は新規制基準への適合性審査で620ガルの地震動を受けたとしても、安全上重要な機能は確保されることを確認している」とコメントしています。
ですが、実際には14日夜の「前震」では熊本県益城町で阪神大震災の891ガルを大きく越える最大加速度1580ガルを記録しており、活断層上にある川内原発の近くで同程度の地震が発生すれば同発電所の安全が確保される保証はありません。
さらに、17日の気象庁の会見では「今後1週間程度は震度6弱の余震に注意してほしい」「ふだんと違う地震活動なので、いつまで(注意すればいい)と言い切るのは難しい。単純な本震余震活動だとしても1週間程度は続くので、少なくとも同程度の警戒が必要だ」として、これまでの地震観測の経験則で語れない地震であることが示されています。
また、震源地の分布についても「16日と少し違うのは、これまで地震活動があまり見られなかった南側で、やや小さい地震活動がみえている。八代市で最大マグニチュード4.5(16日09時16分頃)。まだ大きいものではないが、16日01時の地震が影響して、同日の午後ぐらいからだんだん増えている」としており、今後の地震活動がより広範囲に及ぶ可能性にも言及しています。
こうした状況の中、4月16日に川内原発の停止を求めた電子署名が「#保育園落ちたの私と私の仲間だ」の署名でも使われたオンライン署名サイトChange.orgで開始されました。
熊本市出身者によって始められた「川内原発を止めてください。」というシンプルな名前の署名はほんの2日間で4万2000筆以上(4月18日12:45現在)を集めています。「保育園~」の署名が6日間で2万7000筆を集めたことは全国的に大きな話題となりましたが、今回はさらにそれを上回るペースで反対の声が集まっていることが分かります。
この署名が求めているのは川内原発の廃炉といった、いわゆる「脱原発政策」の実施ではなく、単純に余震が続いている中での稼働の継続というリスクを取らず、即時停止して欲しいというもの。現時点で川内原発付近で大きな地震が起こる可能性は否定できず、仮にそうした地震が起こり、福島第一原発事故のような事態が発生すれば、九州全体への影響は計り知れません。
九州電力は川内原発に免震棟を作るとして再稼働に必要な規制委の審査を通った後、計画を撤回して批判に晒されることとなっています。さらに、川内原発の事故に伴う住民避難にはバスを用いる計画が立てられていましたが、高速道路、在来線ともに各地で寸断している状態では迅速な避難もままなりません。薩摩川内市長は避難に「九州新幹線活用を」としていましたが、こちらもご存じの通り運転を見合わせています。
原発を停止させても危険性は変わらないという反論もありましたが、福島第一原発事故でメルトダウンを起こしたのが運転中の1号機から3号機であったことを考えれば、一刻も早く冷温停止の状態に持って行っておくことがリスクマネジメントとしては極めて重要。
なお、川内原発を停止させたら電力需要を満たせなくなるという驚くべき難癖も見られますが、4月は一年の内でも電力需要が最も低い水準になる季節であることは東日本大震災の後に学んだとおりですし、各電力会社は電力使用量を見積もってその時々の発電量を無駄のないように決定するものです。
そういった批判者には水力発電所や火力発電所が被災して発電できなくなる可能性を示唆する人もいますが、それならばなぜ川内原発が被災することには思いが至らないのか、想像力の偏りに首をかしげざるを得ません。
キャンペーン ・ 経済産業大臣 川内原発を止めてください。 ・ Change.org
【4/20タイトル変更】
4日で署名が10万筆に達したためタイトルを変更しました。
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