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福島第一原発の廃炉費用、結局国民の税金から捻出されることになりそうです。詳細は以下から。
東電が自信を持って進めていた凍土壁も失敗に終わり、廃炉作業も遅々として進まない福島第一原発事故。遂に東電が国に泣きを入れました。
東京電力ホールディングスが28日に2011年の東日本大震災に伴う福島第一原発事故の廃炉費用について政府に支援を求める考えを明らかにしました。これは今年4月に始まった電力小売りの全面自由化による競争激化などで経営環境が厳しくなり、コスト削減などの経営努力だけではどうにも首が回らないと判断したためです。
これまで東電は福島第一原発の廃炉費用として1兆円を準備し、追加で1兆円を工面する計画でしたが、廃炉や事故処理に短くとも30年から40年かかる見通しな上に実際の廃炉費用が2兆円を大きく上回る可能性もあるとのこと。
また東電は廃炉のみならず、福島第一原発事故に関する賠償や除染の費用についても東電の想定を上回った分の負担のあり方について国に協議を求めるとのこと。
賠償や除染については現時点でも国から原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて融資を受け対応していますが、費用が当初の想定を超える可能性が高いとして融資の枠組みの拡大や国費投入などを求めることになりそうです。
28日に記者会見に臨んだ数土文夫会長は「電力需要の減少や競争激化などで市場環境は激変している」として「廃炉は世界でも未踏の分野に入るので、政府との意思疎通が重要」と理解を求めました。驚くべきことに、この際何兆円ほど必要となるかの見通しについては口にしませんでした。税金の投入を求めるにも関わらず、です。
ここで大切なのは東電会長が自ら「電力需要の減少」を口にしていること。日本人口が減少の一途を辿っていることは既にBUZZAP!でもお伝えしていますが、今後電力需要が増加する可能性は少なく、そうした状況で国のエネルギー政策にあるように原発を新設するという選択は極めて無駄の大きなものとなります。
折しも老朽原発の存続が次々と認められていますが、老朽原発の事故リスクは当然ながら上昇しますし、過酷事故が起きればこのように数十年単位で数兆円を国民の税金から支払うという話も出てくるということ。
原発の安価さをいまだに口にする人もいますが、増加する一方のリスクと国民の税金から負担せざるを得なくなる莫大なコストを勘案しなければ何の意味もありません。
東京電力:廃炉費用 国に支援要請へ 電力自由化理由に - 毎日新聞
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