自民党版「事業仕分け」、71事業中トップクラス若手研究者の海外派遣のみ廃止


Photo by Department of Computer Science NTNU

行政の無駄をチェックして省くためのレビューでしたが、廃止とされたのはたったのひとつでした。詳細は以下から。


6月27日に外部有識者による中央省庁の予算執行状況に無駄がないかをチェックする「行政事業レビュー」の公開点検作業が終了しました。

対象となったのは16府省庁と原子力規制委員会の計71事業。しかし「廃止」と判定されたのはたったの1事業に過ぎませんでした。この判定結果は2018年度予算の概算要求に反映させられることになります。

では廃止された事業は何かというと、文部科学省による若手研究者を海外トップクラスの研究機関に長期派遣するというもの。

資源のない日本にとって人材が生命線だという話ははるか以前から言われてきたこと。そして既に日本の大学がQS大学ランキングのベスト20には入っておらず、アジアに限定してもシンガポールや香港、中国に追い抜かれていることはご存じのとおり。

さらに大学への交付金の削減から人件費の抑制が求められ、日本中で多くの若い研究者らが常勤の定職を得ることが困難になっていることはNature誌にも指摘されたばかりです。これによってこの数年でハイレベルな科学雑誌への理系論文数の掲載数も減少しています。

すぐにそうした状況を改善できないのであれば、せめて若手の研究者がどんどん海外に出て高度な研究機関で世界中の研究者と共に実績を積むことは、大いに国益に適う事業のはずです。

そうしたチャンスを国が率先して潰してしまっては、将来的に日本の研究水準が低下してしまうことは必至。国家百年の計と言われるように、中長期的な展望を持った予算の使い方が求められるはずですが…?

「廃止」は文科省1事業 行政の無駄点検終了 | 2017/6/27 - 共同通信 47NEWS

(Photo by Department of Computer Science NTNU


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