中国が象牙取引を禁止、日本が世界唯一の象牙市場となり違法輸出の温床にも



ウナギ、マグロに続き世界中の非難を浴びる案件となりそうです。詳細は以下から。


毎年密猟者らによって3万頭にも及ぶ象が違法に殺害される状況が続いていたことから、2016年10月4日に南アフリカのヨハネスブルクで開かれた野生動植物の取引に関するワシントン条約締約国会議で、アフリカゾウ保護のため象牙の国内取引禁止を各国に求める決議が全体会合で正式承認されました。

これを受けて世界最大の象牙市場だった中国が2017年末をもって象牙取引を禁止し、同様に巨大市場だったアメリカ合衆国も2016年6月に象牙取引を事実上の全面禁止とする措置を発表していることから、日本が世界唯一の合法的な象牙市場として取り残されることになりました。


日本側の言い分は「日本の国内市場は適切に管理されており、閉鎖の対象には含まれない」というもので、今現在も堂々と象牙の取引が行われています。

しかし中国の象牙市場は合法的に取引された象牙を扱う業者が違法象牙も扱い、虚偽申請で合法化させる「ロンダリング」機能を果たしてきており、日本の象牙市場も同様の状態であるとナショナルジオグラフィック誌が2015年12月の時点で指摘しています。

日本で違法な象牙取引が横行、覆面調査でも確認 _ ナショナルジオグラフィック日本版サイト

メルカリや楽天などの一部のオンラインマーケットはようやく象牙の取り扱いを禁止しましたが、いくらでも抜け道が残されている事は象牙 価格とGoogle検索すればすぐに分かります。

昨年明らかにされた神戸製鋼や日産、SUBARU、商工中金などの一連の虚偽申告に絡んだ不祥事を見れば、日本人業者がこうした「象牙ロンダリング」を行っていないと考えるのはあまりにもお花畑思考と言わざるを得ません。


今年から世界唯一の合法的な象牙市場となったことから、今後こうした「象牙ロンダリング」が増加する可能性は極めて高く、アフリカ象の密猟に日本が国を挙げて荷担するという極めて不名誉な構図ができあがることになります。

また、中国に向けた日本の象牙や象牙製品の密輸が現時点でも横行していますが、中国の合法的市場が消滅したことで今後さらに密輸が増加する可能性が高く、日本が象牙密輸の温床として供給源の役割を果たす可能性もあります。

ウナギやマグロなど、絶滅が危惧される水産資源を野放図に漁り続ける姿勢には既に国際的な批判が上がっていますが、これに象牙が加われば日本の国際的な評価がこれまで以上に毀損されることは確実です。

China's ban on ivory trade comes into force - BBC News

China Shuts Down Its Legal Ivory Trade


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