大きな批判を浴びた「キャッシュレス決済客のみ2%分還元」の代替案が迷走しています。詳細は以下から。
◆必要な人に届かない「キャッシュレス決済客のみ2%分還元」が炎上
2019年10月から確実に10%になる事を安倍首相が太鼓判を押した消費税。増税による消費の冷え込みを軽減するための対策として、政府が提示したのが「中小店での商品購入時、キャッシュレス決済を行った消費者に購入額の2%分をポイントで還元する」というものだったため、全方位からの批判を浴びることになりました。
理由としては対象となるクレジットカードを使う習慣のないお年寄りにとっては極めてアクセスしにくい制度だということ。さらに、諸々の理由でクレジットカードを作れない貧困層にとってはまったくアクセスが不可能です。
また、キャッシュレス決済の際にカードの運営会社に支払う手数料が中小小売店において導入の大きなハードルになっていますが、この対策が実現してキャッシュレス決済が増加すると中小小売店にとってはむしろ負担増となります。
つまりこの対策案は、増税の負担を最も受ける貧困層に最も届きにくく、中小店の支払うカード手数料を増やし、システムを受注する会社とカードの運営会社を儲けさせるだけに終わる「やってる感」の演出でしかなく、あっという間に大炎上となりました。
◆軌道修正を図るも迷走
この方針は10月16日には麻生財務相にまで「田舎の魚屋で買い物したことがあるか知らんけど、大体クレジットカードなんかでやっている人はいない」と指摘される始末となっており、政府内では現金や商品券のバラマキが言及されるなど迷走が始まっています。
片山さつき地方創生相も16日に「キャッシュレスが浸透しきらない部分にも温かみが行くような対策を取らないといけない。プレミアム付きの商品券や旅行券、現金給付をおっしゃっている政党もある」と発言。
また、公明党は「高所得者ほどポイント還元額が多くなる」と指摘し、「所得の少ない人たちにどういう対策ができるか。これはどうしてもやらないといけない」と商品券の発行や現金給付を盛り込んだ対策案をまとめる考えです。
結局のところ、現状で浮かんできているのは商品券、旅行券、現金などのバラマキ策のみ。自民党は民主党政権時代には消費増税に絡み、最低補償年金などを無駄遣いとばらまきのマニフェストと批判してきましたが、今度は自らが負担軽減策としてさらにあからさまなバラマキ策を提示するというブーメランとなっています。
どちらにしても、逆進性の高い消費増税への一時的な負担軽減策は焼け石に水にしかならず、負担の増えた国民の消費が今までに増して冷え込むことになるのは必至。消費を伸ばし、経済を活性化させたいのであれば、むしろ消費税は廃止するか減税して国民の可処分所得を増やす方向にシフトしていかなければならないでしょう。
光文社 (2013-11-15)
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