すでに事実上撤退の決まっていた日立の英原発計画ですが、このたび正式に完全撤退が決定しました。
原発輸出をアベノミクスの成長戦略の目玉としてきた安倍政権では、安倍首相自らがインドやトルコなどにトップセールスを行ってきましたが、これにて名実ともに全滅となりました。詳細は以下から。
日立製作所がイギリス政府とともにイギリス中西部アングルシー島で計画し、2020年代前半の運転開始を目指していた原発2基の建設計画。2019年1月の時点で凍結が発表されていましたが、9月14日に完全撤退の方針を固めたことを毎日新聞が報じています。
日立はこの原発新造計画の再開は不可能と判断。早ければ16日に開く取締役会で決定した上で英政府にも撤退を伝えるとのこと。
大きな原因は福島第一原発事故を発端とした安全対策強化の世界的方針などで事業費が当初予定の2兆円から1.5倍の3兆円規模にまで膨んでしまったこと。
安倍政権はアベノミクスの成長戦略の目玉として原発輸出を推進しており、2018年頭には本件に関して3大メガバンクと国際協力銀行を含む銀行団が総額1.5兆円規模の融資を行う方針を示し、事故などによる貸し倒れに備えて日本政府が融資の全額を債務保証する事を決定していました。
ですが安全対策のための工費を賄うことが難しい上に、イギリスのEU離脱に関する諸問題で先行きが不透明になったこともあり、今回の完全撤退に至ったとのこと。
これ以外の安倍政権の原発輸出案件も、トルコをはじめベトナムやリトアニアなどでもことごとく頓挫しており、今回の日立の撤退をもって事実上すべて失敗のうちに終了となりました。
菅義偉官房長官が自民党総裁選で勝利した当日に日立が完全撤退を決定というタイミングはなかなか感慨深いものとも言えそうです。
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