東京五輪招致の決定前後に総額11億円をJOCが海外送金、でも相手や内訳は「守秘義務で非公表」



これまで取りざたされてきたブラックタイディングス社への約2億5000万円の3倍以上の資金が海外に送金されていたことが新たに判明しました。詳細は以下から。


◆招致決定前後にJOCが「公表できない11億円」を海外送金
2016年にGardian紙が報じてから4年余りに渡って指摘され続けてきた東京オリンピック招致に絡む贈賄疑惑、ここに来て新展開です。

2020年東京五輪招致委員会が海外に送金した総額が、すでに判明している200万ユーロ(約2億5000万円)を送金したブラックタイディングス社を含め、11億円超に上ることを共同通信社が報じています。

ブラックタイディングス社への送金は、招致決定前の正念場となった13年7月と開催決後の10月に1回ずつでしたが、他のケースも同時期に集中しており、同様の工作が多発していた疑念が持たれます。

なお、ブラックタイディングス社を除いて具体的な送金先や内訳は不明とされており、当時の招致委関係者は「守秘義務もあり個別の案件は非公表」としています。

BUZZAP!ではこのブラックタイディングス社への送金について以前も詳しく報じましたが、すでに日本側のトップだったJOCの竹田会長が辞任に追い込まれています

なお本件に絡み、五輪招致に使われた海外コンサルタント費計9億円余りの支出を裏付ける会計書類の所在が不明になっていることは毎日新聞が2019年11月の時点で明らかにしており、取材に対して招致委員会の解散時の全役員と事務局幹部計20人に所在を尋ねたものの全員がお茶を濁していました。

海外送金された軽11億円はこの際の会計書類が所在不明となっている分よりも2億円ほど多くなっており、どこに何が使われたのか、謎がさらに深まった形です。

◆五輪招致贈賄疑惑とは?
この疑惑は東京オリンピックの招致活動において、200万ユーロ(約2億5000万円)にも及ぶ多額の資金が日本の招致委員会から国際オリンピック委員会(IOC)関係者に渡ったとされるもの。

フランス検察当局は、2013年の7月と10月にIOC委員で国際陸連(IAAF)前会長のラミン・ディアク氏の息子パパ・マサタ・ディアク氏に深い関係のあるシンガポールのペーパーカンパニー、ブラックタイディングス社の秘密口座に送金されていたことを確認しています。

【東京五輪】招致にからみ仏検察捜査 日本の銀行口座から「招致」名目で疑惑口座に送金 - 産経ニュースより引用)

この口座の所有者で同社代表のイアン・タン・トンハン氏はパパ・マサタ・ディアク氏の親密な友人であり、広告大手の電通の「子会社」AMSのコンサルタントとして雇われた人物。

そしてパパ・マサタ・ディアク氏はIAAFのマーケティング・コンサルタントを勤めており、電通は2029年までIAAFのマーケティング権を取得しているというこの上ないズブズブな関係でした。

Tokyo Olympics ?1.3m payment to secret account raises questions over 2020 Games Sport The Guardianより引用)

この疑惑に対してJOC竹田会長(当時)は参考人招致されて答弁しましたが、ブラックタイディングス社がペーパーカンパニーであることを決定づけただけで疑惑は何も解明されないまま2019年に辞任に追い込まれました

つまり、この五輪招致贈賄疑惑はJOC竹田会長の辞任で日本国内ではなんとなく終わったような空気となりましたが、疑惑は何ひとつ晴れていないのが現状です。

そうした状況で、疑惑の4倍以上の資金をJOCが海外送金していたことが判明した以上、「守秘義務もあり個別の案件は非公表」という言い訳はまったく通らないことになります。

東京オリンピックは日本人だけでなく世界中が待ち望む平和とスポーツの祭典のはず。例えウィズコロナであったとしてもウィズ賄賂であっていいはずがありません。

ブラックタイディングス社への2億5000万円に加え、8億5000万円が誰にどのような名目で送られたのか、疑惑に蓋をすることなく全てを公表して洗いざらい説明し、誰もが納得のできる形で開催する必要があります。

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