確かに五輪を開催しないつもりであれば、オリンピック憲章など気にする必要もないのかもしれませんが…。詳細は以下から。
◆橋本新会長、自民離党も議員辞職もしないと明言
森会長の女性蔑視発言による辞職を受けて就任した東京五輪組織委の橋本聖子新会長が参議院議員は辞職せず、所属する自民党も離党しない考えを示しました。
橋本新会長はその上で記者団に対し「疑念を持たれないよう、中立性やIOCの憲章にのっとって、しっかりと行動していくことを心がけていきたい」と述べています。
ただしオリンピック憲章には「オリンピズムの根本原則」として
5.オリンピック・ムーブメントにおけるスポーツ団体は、スポーツが社会の枠組みの中で営まれることを理解し、政治的に中立でなければならない。スポーツ団体は自律の権利と義務を持つ。自律には競技規則を自由に定め管理すること、自身の組織の構成とガバナンスについて決定すること、外部からのいかなる影響も受けずに選挙を実施する権利、および良好なガバナンスの原則を確実に適用する責任が含まれる。
と記されています。五輪相という担当大臣こそ退いたものの、与党自民党に所属しつつ国会議員を続投するという決断それ自体が、世界からは「政治的に中立か?」という「疑念」の対象となることは言うまでもありません。
◆橋本五輪相の抱えるいくつかの「爆弾」
また森会長辞任に関しては、最初に川淵氏選出の際に密室での森会長による指名が問題となって白紙撤回となりました。
その後透明性が重視されたにもかかわらず、結局は組織委員会の御手洗名誉会長が取り仕切る非公開の「候補者検討委員会」によって橋本氏に一本化され、そのまま新会長に就任するという密室での誕生となりました。
また、橋本新会長は森前会長と「父と娘」と公言し合うほど非常に近しい関係であることは既に広く知られているとおり。
95年に自民党から参議院議員として初当選した際に出馬要請したのは当時の森幹事長であり、19年に五輪相として組織委を訪問した際には森会長を「私の父なんです」と語り、森氏も「娘だと思っている」と応じるなど、その関係の深さから森前会長の「院政」を指摘する声も絶えません。
また、橋本新会長はフィギュアスケート男子の高橋大輔選手にキスを強要したとするセクハラスキャンダルの過去のある人物。
橋本氏は「キスを強制した事実はありません」とするコメントを発表し、高橋選手も「パワハラ、セクハラはない」としていますが、これ自体がパワハラによるセクハラの隠蔽と取られる可能性もあります。
◆五輪中止のサインの可能性
このように、橋本新会長は引責辞任した森前会長との親密さやセクハラスキャンダル、選出の不透明さなどで就任前から複数の「爆弾」を抱えている状態でした。
その上でオリンピック憲章の求める「政治的中立」をかなぐり捨て、議員辞職どころか、与党自民党からの離党もしないと宣言したわけです。これは何を意味するのでしょうか。
普通に考えれば、五輪開催まで5ヶ月と迫った段階で、組織委会長というトップが複数のリスクを抱えることにはデメリットしかありません。ただでさえ世界のコロナ禍は収束が見通せず、変異株の拡大も報じられ、日本国民が7月までにワクチンを接種し終える見込みもありません。
そうした中で複数の「爆弾」を抱えた橋本新会長が(「若い」「女性」というアピールポイントはあったにせよ)選出されること自体が大きなリスクですが、就任早々そのリスクをさらに積み増したことになります。
それはなぜか。これらの全てがデメリットにならないとすでに判断されていると考えることができます。それはつまり、東京五輪が中止になり、実際には開催されないということ。
この場合、橋本新会長の最大の仕事は東京五輪中止宣言とになります。自民党を離党し、議員辞職していればその時点で「ただの人」になるしかありませんが、籍を残していれば大仕事を成し遂げて無事に議員を続けられることになります。
そう考えてゆけば、これまでも何度も囁かれてきたように、すでに五輪中止は確定しており、中止を宣言する最善のタイミングが待たれている状態ということにもなりそうですが…。
【14:25追記】
橋下新会長が野党からの「政治的中立」に関する批判を受けて自民党を離党する意向を固めたことが報じられました。複数の党関係者が明らかにしたもので、午前中の記者会見での「自民党離党も議員辞職もしない」宣言からわずか3時間あまりでの「変節」となります。
【16:40追記】
自民党を離党した橋本新会長はオリンピック憲章の求める「政治的中立」に関して「尊い議席はこのまま守りたい」と述べて参院議員辞職を否定しました。
オリンピック精神よりも自分の議席を優先した発言として波紋を呼びそうです。
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