このパターンで反捕鯨運動が世界を席巻したことを考えると、遠くない未来にタコを食べるのが「野蛮な行為」とされる可能性も否定できません。詳細は以下から。
BBCがスペインの多国籍企業Nueva Pescanova社による世界初のタコ牧場の設立を報じています。
同社は2022年夏にも養殖タコのマーケティングを実施し、2023年に販売を開始する計画を発表。スペイン・カナリア諸島州ラス・パルマス県の港に近い陸地に牧場を建設し、年間3000トンのマダコの養殖を行うとのことです。
世界のタコの年間消費量は1950年から10倍増となる35万トンに達しており、乱獲による個体数の減少も報じられる状況。タコは日本や韓国などアジア諸国ではおなじみな食材で、地中海沿岸でも広く食べられ、最近ではアメリカにも進出しています。
ですがタコの幼生は生餌しか食べず、環境の維持も困難なため長い事養殖は成功してきませんでした。
それを考えればNueva Pescanova社のタコ牧場は朗報なのですが、大きな問題はタコが頭のいい生き物だということ。
蓋を閉めた瓶に入れたタコが自分で内側からふたを開けて逃げる動画が以前話題になったように、かなり高いレベルにあります。
またタコは眠っている時に夢を見たり、音楽にも好みがあるなど、なんとも人間臭い側面も。
さらにタコは魚と共に狩りをすることがありますが、その最中に狩り仲間のはずの魚をブン殴るケースも。また特に意味なく殴ることもあるようで、この辺りも「感情豊か」に見えてしまいます。
Octopuses punch fishes. YES. OCTOPUSES. PUNCH. FISHES!!
— Eduardo Sampaio (@OctoEduardo) December 18, 2020
Our new paper is out on @ESAEcology, showing that octos express this behavior during collaborative hunting with other fishes. This was probably the most fun I had writing a paper. Ever! (small 🧵)https://t.co/Vwg9BoaSUo pic.twitter.com/PIYuVXpM9t
もちろんこうしたエピソードは単純に面白がる人だけでなく、タコが知性的な存在であり、喜びや楽しみと同時に苦痛を知覚することのできる生き物であるとの主張に直結します。
タコの知性を研究している科学者らからはタコ牧場が「倫理的、生態学的に不当」と指摘も出されており、動物愛護団体のCompassion in World Farmingはタコ牧場を禁止するようスペインを含む複数の国に働きかけています。
タコ牧場が禁止されれば、次にやってくるのがタコ食自体への非難であることはクジラやイルカの先例を見れば想像に難くありません。
同じ哺乳類のクジラやイルカとタコが同列に扱われるのか、クジラやイルカよりも世界中で広く食べられているタコの禁止への賛同がどこまで集まるのかは未知数です。
ですが、場合によっては日本のタコ焼きを含む世界中のタコ食文化が、遠くない未来に批判にさらされる可能性もあり得るということ。
BBCが掲載した「タコは素晴らしい動物です。彼らは孤独を愛し、とても知性的です(These animals are amazing animals. They are solitary, and very smart.)」とするCompassion in World Farming研究管理者の言葉が、反対運動の行く先を暗示しているようです。
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