過労死への理解が進んでいたかと思いきや、ゴールポストを動かすことで過労死が「見かけ上減少」していた模様です。詳細は以下から。
東京新聞社によると、厚生労働省が労災認定のハードルを上げることになる、労働時間の厳しい算定基準を内々で決めて通達を出していたそうです。
この通達は厚労省が2021年3月に出されたもの。2021年9月に過労死・過労自死に関係する認定基準を緩和し、労働時間以外の要因と合わせて総合的に評価する方針に逆行するもの。
過労死弁護団は2021年から労働時間の過小認定が続出しており、「客観的な資料がそろい、以前なら問題なく認定されたはず」のケースでも不支給が続いているとしています。
東京新聞は以下のように例を示しています。
製造業の社長補佐の60代男性が過労で倒れ、脳梗塞の後遺症が出て2020年に東京都内の労基署に労災申請したケース。パソコンのログイン時間やメールの詳細な記録を提出したが、3月の通達に沿う形で「持ち帰り残業は例外を除いて労働時間に算入しない」とされ、労災保険の不支給が出た。
(過労死の「見かけ上の減少を優先」労働時間の過小認定が続出 厚労省の基準厳格化で弁護団が指摘:東京新聞 TOKYO Webより引用)
東京新聞は過労死弁護団の見方として、2019年4月の「時間外労働への罰則付き上限規制」導入の影響を指摘。
時間外労働の上限規制導入以降は過労死事案の労働時間の調査に、企業の法令違反を取り締まる監督部署の関与が顕著になったとのこと。
これにより「被災者の救済より、過労死案件の見かけ上の減少を優先させている」としています。
違反の指摘は重要なものの、労災担当部署が重視する「対象者にもれなく補償する」立場よりも違反事例を減らすことによる成果が重視されれば、労災案件自体が認められず補償を受けられないケースが増えることになります。
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