私たちが都会を離れて自然を求め、そこで癒やされる理由は自然の景観にあふれかえるフラクタルのおかげだったようです。詳細は以下から。
ジャーナル「Urban Science」に掲載された最新の研究によると、人類が文明以前から親しんできた自然の風景が私たちをリラックスさせ、その中心となるのが大小様々な「フラクタル」の形状だとのこと。
フラクタルとは「自己相似性」という特殊な性質を持つ幾何学的構造のこと。異なった大きさの作りの中に似た形状が現れることを指しています。以下の画像が有名ですが、拡大すると同じような構造が次々と出てきます。
動画ではこんな感じです。
自然界で見てみると、例えば樹木全体の形とそれぞれの枝の形、また一枚の葉の葉脈の形はとても似通っています。また銀河系全体と太陽系の形、それに原子核の形も似ていることが知られています。
このような、大きな構造と小さな構造の間に見つかる似通った形状は自然の中であちこちに見いだすことができます。
そして人間の脳はこうした構造に慣れ親しんでおり、フラクタル構造を見ると脳が認識する前にわずか0.05秒でフラクタルに気づけるとのこと。
研究を主導したオレゴン大学のRichard Taylor博士は、フラクタル構造を見ることは、観察者のストレスや精神的疲労を60%も軽減すると結論づけています。
また研究では、窓があって外の自然の景色を見られる入院患者ほど治るのが早いことも示されています。
現在の都市の景観は直線で形作られた建物と人工物に囲まれていますが、住む人の健康や幸福度を考えれば、フラクタル構造を効率的に導入すべきとのこと。
フラクタル構造が取り込まれたガウディの世界的建築サグラダ・ファミリアは多くの人を惹き付けていますが、その理由のひとつもここにありそうです。
そこまで大規模で芸術的でなくとも、カーペットや天井、ブラインドなどにフラクタルの構造やデザインを取り込むことで、都市空間のストレスを大幅に低減できるとしています。
フラクタル構造を求めて自然の中に飛び込むのもよさそうですが、都市の景観がガウディの作品のようになるのもなかなかおもしろそうです。
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