タイにおいて、大麻はもはや危険なドラッグではなく、政府が栽培を奨励する商品となっています。
大麻100万本をタイ政府が無料配布へ
タイ政府は家庭での大麻栽培を認める新ルールの制定を記念し、2022年6月に大麻草100万本を全土の世帯に無料配布することが明らかになりました。
これはアヌティン・チャーンビラクル保健相がFacebook上の投稿で明言したもので、「大麻草を自家栽培の作物のように育ててもらいたい」と表明しています。
2022年6月9日に施行される新ルールにより、大麻のすべての部位の所有や使用が合法となり、地元自治体に届け出ることで大麻を自家栽培できるようになります。
タイでは2019年時点で大麻を自家栽培して政府に売却可能になっており、今回の大麻の大量無料配布は政府への売却と、それに伴う大麻産業への大量供給を狙ったものといえそうです。
ただし栽培できるのは「ハイ」になる有効成分THCの含有量が0.2%以下の医療用大麻に限定されるとのこと。ただし政府はどのようにこの条件を施行するかは明らかにされていません。
なお商業目的で大規模に大麻を取り扱うためには保健省の許可が必要となっており、これらの大麻の利用目的は医療用と食品添加用に限定されます。
官民足を揃えたタイの大麻「激推し」は本気
タイは2018年に東南アジアとしてはじめて医療大麻を合法化しており、大麻を換金作物として普及させる計画を推進しています。
タイ政府はみずから医療大麻検索アプリ「Dr. Ganja」を作成するなどその推進振りは文字通り国を挙げたもの。
またすでに大麻に関する自治体の条例も緩和されており、飲料メーカーや化粧品会社は大麻や大麻抽出成分CBDを使った製品を相次ぎ発売しています。
たとえばタイのピザチェーン店「The Pizza Company」は2021年1月、トムヤムクン味の大麻入りピザ、その名も「クレイジー・ハッピー・ピザ」を499バーツ(約1700円)で発売して話題となりました。
号砲大麻と医療ツーリズム
タイはこうした大麻そのものや関連商品の売り上げによる直接的な利益を狙う一方、海外からの渡航客もメインターゲットとしています。
タイでは北西部のチェンマイを中心に「医療ツーリズム」を推進してきました。
伝統医療やタイマッサージなどを組み合わせて提供しており、伝統医療にも位置づけられる医療大麻はこれと極めて親和性の高いため、極めて巨大な観光資源となります。
アヌティン保健相は5月10日には、企業が登録すれば、THCを含有したプロダクトもも販売できると発表。「これで国民と政府は、マリフアナと大麻から年間100億バーツ(約379億円)以上の収益が得られる」と書き込んでいます。
コロナ禍が明けた際には、オルタナティブな医療を求める富裕層から遊び好きなバックパッカーまで、多くの観光客がタイに押し寄せることになりそうです。
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