岸田政権が3年後の2025年度までに全国での「最低賃金1000円以上」の方針を打ち出しました。
最低賃金が800円台の地方にとっては大きなプラスとなりそうですが、自体はそう簡単でもなさそうです。
いったい「最低賃金1000円以上」は何をもたらすのか、考えてみました。
2025年度までに「最低賃金1000円以上」に引き上げへ
読売新聞社によると、岸田政権は2025年度までに最低賃金1時間あたり1000円以上を目指す方針を示すとのことです。
6月7日にも閣議決定する「新しい資本主義の実行計画」の工程表に盛り込まれる見込みです。
これは岸田政権が「人への投資」の柱に据える賃上げを加速させるためのもので、消費の活性化やコロナ禍からの景気回復の追い風にする狙いがあります。
「最低賃金1000円以上」がもたらすもの
最低賃金はすべての労働者に適用されるもので、現在の全国平均額は930円となっています。
すでに東京都(1041円)と神奈川県(1040円)では1000円を超えていますが、最低の高知県と沖縄県は820円で、多くの都道府県で800円台にとどまっています。
地方では、家賃は安くとも自動車が必須なケースが多く、飲食物や日用品、水道光熱費などは都会と大きく変わらないため、全国一律の最低賃金が強く求められてきた経緯があります。
今回の全国での「最低賃金1000円以上」の方針は、最低賃金の地域格差を縮小させる効果が見込めそうです。
ギグワーカー問題拡大か、それとも雇い止めや「ワンオペ」横行か
ただし問題は、これがあくまでも「最低賃金」の話だということにあります。
Uber EATS配達員などの「ギグワーカー」は、雇用関係の発生しない個人事業主扱いの業務委託であり、最低賃金は適用されません。
企業が最低賃金の適用逃れのために、実質的に雇用関係にありながらも業務委託として働かせるケースが拡大する恐れもありそうです。
また人件費が増加することから、大規模な雇い止めや「ワンオペ」のような無理な働き方が広がる可能性も考えられます。
働く人にとっての追い風となるかどうか、法整備の行方をしっかり注視しておく必要がありそうです。
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