岸田首相が電力逼迫に向けて発表した肝いりの節電ポイント付与による実質的な電気料金の値下げ制度ですが、家計への影響が極めて軽微であることが判明しました。
2022年夏はラニーニャ現象による猛暑の危険性がすでに指摘されている中で、節電要請の効果に開始前から疑問符が付いている状況です。
岸田政権肝いりの節電ポイント制度が爆誕
岸田政権は、2022年7月から9月にかけて7年ぶりとなる節電要請を行いました。
この節電要請に協力した家庭には「節電ポイント」を付与し、電気料金を実質的に下げるための支援策を講じるとされています。
岸田首相は6月21日「効率化に応じて幅広く利用できるポイントの付与や、事業者の節電分を買い取る制度で実質的に電気代負担を軽減する」と発言するなど、参院選を前にアピールを行っていました。
ですがその中身はなかなかに残念なものでした。
ただしポイントは月数十円にとどまる
たとえば東京電力と中部電力は節電ポイントの付与を7月から開始予定となっています。
節電ポイントは電力不足が予想される場合に前もって協力が要請され、家庭の節電量に応じて付与されます。
日経新聞社によると、1kw時を節電した場合で東電は5円相当、中電は10円相当を付与するとのこと。電力会社により「Tポイント」「Pontaポイント」「nanacoポイント」などのポイントに交換も可能とされます。
また3%の節電が目標とされており、月260kw時を使うモデル世帯では月数十円ほどの還元となるとのこと。実際に計算してみましょう。
東京電力のスタンダードLプランでは、121~300kW時の電気料金は1kw時26.46円とされています。
260kw時の3%は7.8kw時となり、節電で直接減少する電気料金は約206円。これに節電ポイントが39ポイント付与されることになります。
8畳用エアコンの冷房能力の標準が2.5kwのため、1kw時は約25分間のフル稼働となります。
7.8kw時は約3時間のエアコンフル稼働といったところでしょうか。
単にエアコンを止めれば良い話ではない
ただし、単に月に3時間エアコンを止めれば良いという話ではありません。
節電が求められるのは気温の高い晴れた日の午後などの電力消費ピークとなるため、ピンポイントでの節電が必要となります。
また、エアコンは始動からの10分程度が最も電力を消費します。
要請が解除されたからとエアコンを再始動させればそこでまた大きく電力を消費することになります。
実際に節電するのであれば、朝の暑くなる前から少し高めの温度設定でエアコンを付け続けておくのが最も効果的です。
それでどこまで電力ピーク時の消費電力を減らせるかは不透明ですが、付けたり消したりを繰り返すのはかえって逆効果です。
また熱中症の危険を考えれば、無理な節電協力は危険です。
節電とポイント付与で月に数百円の節約ができたとしても、熱中症で緊急搬送されるような事態となれば少なからず医療費が発生し、仕事に穴を空けることにもなります。
大規模停電回避という名目はあるにせよ、あくまで自分の健康を害さないことを第一に考える必要があります。
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