コストパフォーマンスの良さで広く人気の生活用品メーカー、アイリスオーヤマ。
これまでコストを下げるために海外の工場での生産を行ってきましたが、日本で作った方が安く済む時代が訪れたようです。
コスト削減を理由にアイリスオーヤマが国内回帰へ
NHKの報道によると、アイリスオーヤマがコスト削減のために中国で生産していた約50種類の製品を国内工場でノ生産に切り替えます。
理由としては、コロナ禍やウクライナ侵攻などで発生した原材料費や燃料費の高騰や24年ぶりとなる急激な円安の影響があるとのこと。
これによって生産や輸送のコストが上昇していることから、衣装ケースなどのプラスチック製収納用品約50種類の生産を日本国内の3つの工場に移管します。
これによって約2割のコスト削減が見込めるということで、今後は園芸や除雪用品の生産も国内回帰を検討しています。
同社は「輸入商材の原価が上がり、収益性の低下が避けられない」としており、中国で作るより日本で作った方が儲かる時代が到来したことが分かります。
生産コスト高騰と円安は長期化か
この問題で重要なのは、アイリスオーヤマが海外での生産コストの高騰と円安を長期的なトレンドだと認識しているところです。
コロナ禍やウクライナ侵攻が落ち着いたとしても、生産コストが落ちたり円が高騰したりしないと考えているからこその今回の決定といえるでしょう。
中国の人件費を含めた物価高はコロナ禍以前から指摘されており、それを理由に東南アジアなどに工場を移す日本企業も少なくありませんでした。
そうした東南アジア諸国も物価上昇が著しいこともすでに多方面で指摘されているとおりです。
これは、輸送費を掛けても日本より安く生産できる候補国がもうないということを意味します。
日本が「30年賃金の上がらなかった国」であることは誰もが知る事実ですが、その結果、海外で日本向け商品を生産するメリットすらないほどアジア諸国に追いつかれてしまったことになります。
国内回帰で国内の雇用が増えるとみる向きもありますが、労働人口不足で技能実習生らに頼らなければならないのが日本の現状です。
円安で日本で就業するうま味がどんどん減っていく中、人身売買とも呼ばれる劣悪な労働環境が改善されなければ、せっかく回帰した国内の工場も満足に稼働させられなくなるおそれもあります。
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