2800億円を投入する消費増税ポイント還元制度に致命的な脆弱性、責任のたらい回し始まる



脆弱性の解決される目処が立たないまま、多額の税金が投入されることが決まったようです。詳細は以下から。


◆消費増税ポイント還元制度に2800億円
政府の2019年度予算案の決定に向けた、麻生副総理兼財務大臣と各大臣による1日目の閣僚折衝が終わり、焦点となっていた、消費税率の引き上げに伴うポイント還元制度におよそ2800億円を充てることなどが固まりました。

高齢化に伴う社会保障費の自然増を1200億円圧縮したことが先日ニュースで伝えられたばかりですが、その一方で全額社会保障のために使うとされていた消費税の増税に伴う景気対策として2800億円もの税金が投入されるという奇妙な話になっています。

そもそも論としてポイント還元制度を作るよりも、自然増分の1200億円に当てた上で残りの1600億円を社会保障の充実に当てればよさそうですが…?

◆そのポイント還元制度にも致命的な脆弱性
しかしここでの問題は、そのポイント還元制度に致命的な脆弱性が発見されたこと。中小店同士で商品の転売を繰り返せばその都度、ポイントを受け取れるという「悪用」ができてしまうのです。

例としてA店からB店に100万円の商品を販売するとB店は5万円分のポイントを取得できます。さらにこの商品をB店がC店へ、C店がA店へと転売を重ねるれば、その都度ポイントが取得できてしまうというもの。

ちょっと考えれば誰でも思いつきそうな転売ループをなぜ発見できなかったのかは謎ですが、現代はネットなどを使えば誰でも簡単に「中小店」をオープンできてしまうご時世。物理的な商品ではなく画像や動画、サービスや「アイドルと握手できる権利」などを売れば配送の料金や手間すら掛かりません。

◆責任と対策のたらい回しが始まる
財務省はこの脆弱性について経済産業省に対策を検討するよう要請。麻生財務省は「対応策を何か財務省としても行うのか」との質問に「経産省でやってもらうということだ」と丸投げ。

これを受けた世耕経産相は「ポイント還元制度で国費を使う以上は、われわれもウォッチする必要がある。決済事業者と連携していくことが重要だ」としてクレジットカード会社など、決済事業者を巻き込んで対策していくとしています。

報道ステーションでは「財務省も経産省も対策を作るのはお互いが『俺の仕事じゃない』と言っている」「両者ともに『総理案件』にケチつけたくないんだよ」とする政府関係者のコメントが紹介されており、既に大きくケチが付いて責任のたらい回しが始まっていることが分かります。




なお世耕経産相は「キャッシュレス決済では、すべて記録が残って決済業者がしっかり見ることができる。悪用が起きないよう万全を期していきたい」とし、不正取得が発覚した業者を国の補助対象から外すとしています。

しかし、業者がこの期間中に転売でポイントを荒稼ぎしてそのまま逃げるつもりであれば、補助対象から外されようと痛くも痒くもありません。これまでオレオレ詐欺などを行っていたような集団がそうした「悪用」を行えば、結果的に国民の血税が反社会勢力に流れる事になってしまいます。

安倍首相肝いりとされる消費増税への景気対策のポイント還元制度、果たして実際に景気対策として機能するのでしょうか?

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