日本中を揺るがす大問題となっている日本年金機構の個人情報大量流出問題。昨日その絶句するほどのザルさ加減をお伝えしましたが、さらなるずさんさが発覚、安倍政権が外部機関の監視をなくしたことへの批判も噴出しており、沈静化する気配はありません。
◆添付ファイル開封ではなくリンクをクリック
東京新聞は昨夜、これまで職員がメールに添付されたファイルを開封したことで感染したとされてきた本件の発端について、「偽装メールに張り付けられた外部リンクのアドレスをクリックし、情報ファイルをダウンロードしてウイルスに感染した」可能性が高いことを報じました。
東京新聞 年金機構、共有ファイルで感染か 情報流出問題 社会(TOKYO Web)
「怪しいメールのリンクはクリックしない」は「怪しいメールの添付ファイルは開かない」以上に、まさに入門編の最初に教えられるようなセキュリティ対策。これすらできていなかったとはまさに絶句。
◆ウィルス対策は情報セキュリティ会社任せ
機構への不正アクセスについては5月8日時点で「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)」が異常な情報の流れを感知し、厚生労働省を通じて指摘をしていました。しかし日本年金機構は感染した端末の隔離のみを行い、情報セキュリティ会社からの「ウイルスを検知するパターンファイルを更新した」との報告を受けただけで事態が収拾したと判断してしまっています。結果、周知不足も伴って別の職員からも感染、被害が拡大することとなりました。
◆送信元はヤフーのフリーメール
また、日本テレビの取材では送付された多数の不審なメールの中に送信元がヤフーのフリーメールだったものが存在していたことが明らかにされています。
添付ファイルの名前が「給付研究委員会オープンセミナーのご案内」とされているものがあり、別のメールでは件名が厚生労働省が公表している年金関係の文書のタイトルと同じ「厚生年金制度の見直しについて(試案)に関する意見」となっているなど、警戒心を抱かせないように工夫されているとのことですが、そもそも厚生労働省がヤフーのフリーメールで連絡してくるわけがないというところに気付けないのであれば論外です。
◆安倍政権が廃止した外部機関「年金業務監視委員会」
こうしたずさんな管理問題が発生した背景として挙げられているのが2007年の第一次安倍内閣崩壊の原因のひとつともなった「消えた年金」問題に対応して2010年に作られたのが総務省の年金業務監視委員会の廃止です。第三者的な立場から年金業務の実施状況を調査及び審議するこの組織は設立された後に多くの年金業務上の問題を指摘してきましたが、設置期限の2014年3月末に第二次安倍政権が期限を延長することなく廃止を決定。
年金業務監視委員会の委員長を務めた郷原信郎氏は6月2日に当問題に関する記事を掲載。同委員会の廃止は安倍政権がかつて自らの政権を崩壊させた年金に関する問題が再び露見することを恐れたためではないかと厳しく指摘しています。
第二次安倍政権は、アベノミクスによる円安、株高によって支持率も高く、安定政権として基盤を形成しようとしている時だった。安倍首相にとっては、第一次安倍政権の際に、「消えた年金問題」が発端で政権が崩壊した悪夢から、「年金は鬼門」との認識があったのだろう。それだけに、総務省年金業務監視委員会が厚労省年金局や年金機構の問題を厳しく追及する中で、また年金に関する重大な問題が露見することは避けたいという思いがあったのかもしれない。
(年金機構個人情報流出事件は、外部機関による監視をなくした安倍政権の大罪 より引用)
図らずも「漏れた年金」問題として再び安倍政権の屋台骨を年金問題が揺るがすこととなっており、派遣法改正案やマイナンバー法案の成立に影響をおよぼすことは必至。これらの問題が紛糾すれば「戦争法案」の採決も困難となりそうです。
【年金情報流出】「消えた年金」問題再来!? 「漏れた年金」に政権懸念…派遣法改正案・マイナンバー法案に暗雲 - 産経ニュース
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