「戦争法案」に絡んで珍説が止まりません。子供の言葉遊びのレベルにすら達していない答弁が国会で行われています。詳細は以下から。
現在審議されている「戦争法案」においては「現に戦闘行為が行われている現場」以外であれば、自衛隊が他国軍に対して「武器・弾薬の輸送」を行い、また「武器には含まれない弾薬の提供」が可能となります。
そのため、提供できるものとできないものの線引のために武器と弾薬の違いが重要な焦点となっており、国会で質問が続いていますが、政府側の答弁からは驚くような珍説が連発されています。
◆弾薬は武器ではない
こうした状況に対して7月30日の社民党の福島みずほ副党首からの「武器の提供以外何だってできる。弾薬は武器ではないのか」という質問に対して中谷防衛相は「弾薬は武器じゃない。弾薬は弾薬」と答弁しました。
中谷防衛相は武器と弾薬の違いに関し、弾薬とは「一般的に武器とともに用いられる、火薬類を使用した消耗品」であると説明し、弾薬は武器ではないと強弁。しかし銃火器は弾薬がなければ台尻で殴るくらいしか役には立たず、弾薬の使用とは完全に不可分であり見事なまでな詭弁としか言いようがありません。
米軍が求めれば武器も提供か
◆手榴弾も武器ではない
この件に関し、8月3日の参院特別委員会で共産党の井上哲士議員が「武器とともに使わない、手榴弾はどうか」と質問したところ、「直接、人を殺傷するなどを目的としている火薬類を使用した消耗品」であるため、「武器ではなく弾薬である」と回答。他国軍に対して「重要影響事態法に基づいて、提供することが可能である」としています。
手榴弾「弾薬として他国軍に提供可」 中谷防衛相が説明:朝日新聞デジタル
◆ミサイルもクラスター爆弾も劣化ウラン弾も武器ではない
そして中谷防衛相は8月4日の同じ参院特別委員会で再び社民党の福島みずほ副党首から質問を受けています。ここで「ミサイルは弾薬か」との質問を受けた中谷防衛相は、「あえて当てはめるとすれば、弾薬に整理できる」と回答。
現時点ではミサイルの提供は想定されていないとされていますが、法律上は提供可能な「弾薬」であるとの認識を示しています。
また、非人道兵器とされている「劣化ウラン弾、クラスター爆弾が弾薬に含まれるか」と問われて「劣化ウラン弾、クラスター爆弾も弾薬だ」と回答。安倍首相は「日本は、クラスター爆弾も劣化ウラン弾も保有していない」と答えましたが、法律上はこれらの提供も制限されないこととなります。
ミサイルも「弾薬」 防衛相発言、提供の想定は否定:朝日新聞デジタル
「ミサイル」も武器にあたらない、と中谷防衛相 なぜ?
◆核兵器も運搬可能?
8月5日の同委員会での民主党の白真勲議員の「核兵器の運搬は法文上可能か」との質問に、中谷防衛相は「法律上、特定の物品の輸送を排除する規定はない」として「核兵器の運搬も法文上は排除していない」との考えを明らかにしました。
ただし、実際の運用に関しては「全く想定してない。非核三原則があるので、あり得ない」とも答弁しています。
防衛相、核兵器の運搬排除せず Reuters
しかしこの「戦争法案」、政府が武器の定義に当てはまらないとしたものは弾薬や手榴弾にとどまらず、非人道兵器でも核兵器の運搬や提供であっても法文上の歯止めすらないという現実には唖然とせざるを得ません。
ヒゲの隊長こと佐藤正久議員はニコ生の番組内で後方支援を「兵站」であると明言しましたが、その兵站の中身を確認してみると物資や食料に留まらず、ここまで広範に運搬、提供が可能であることは驚きです。
これまでの自衛隊の活動から大きくかけ離れるこうした問題は、ひとつひとつ細かく議論されなければならないもののはず。11本の法案をまとめて審議し強行採決を行うのはあまりにも拙速と言わざるをえないのではないでしょうか。
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