子育て給付金が廃止される方針が決定されました。軽減税率との交換条件とされますが、またもや財源の話が叫ばれています。詳細は以下から。
子育て世帯の負担軽減策として支給している子育て給付金こと「子育て世帯臨時特例給付金」が2016年度から廃止する方針を政府が決めました。公明党は継続を求めていましたが、食品の税率を8%に据え置く「軽減税率」の対象を公明党の主張に大幅に合わせて譲歩したことなどを理由に自民党が拒否しました。
子育て給付金は2014年の消費税8%への増税にともなって導入された社会保障制度のひとつ。高所得の世帯を除く中学生までの子供約1600万人を対象として2014年度には1人あたり1万円が支給されましたが、2015年度には3000円にまで縮小。そしてたったの2年で廃止に追い込まれてしまいました。
自民党は財政難を理由に2014年度のみで打ち切る意向でしたが公明党が継続を主張、1/3以下という金額でしたが支給されていたものの、自民党の稲田朋美政調会長は「軽減税率が決まったから」として強固に廃止を主張し、「軽減税率」との交換条件のような形で廃止が決まりました。
稲田政調会長は「軽減税率の安定財源を見つけるため、歳入・歳出改革を進めることで合意している」などとしていますが、BUZZAP!でも以前取り上げたようにこの「軽減税率」は単に「外食と酒類を除く食料品と新聞」の税率を現在と同じ8%に据え置くだけのもので、実際には1円たりとも減税されるものではありません。
2016年の参院選前後には高齢者1250万人に3万円ずつを給付するあからさまなバラマキを計画しながらも財源の話などはおくびにも出さず、1600万人の子どもに1万円ずつを給付する制度は財政難を理由に即刻廃止。
そして国立大授業料の大幅な増額を行う上に、子供のいる低所得者世帯への給付も削減、「子どもの貧困対策基金」を民間基金に丸投げして寄付で運営しようとするなど、日本の未来を担う子供や若者に対するサポートはジリ貧状態となっています。
幼児教育の無償化の拡大も謳われていますが、これもあくまで2人目、3人目を産み育てられる家庭のみに限定された話。対象となるのは52万人程度に限られます。
しかも2017年度からは高額療養費制度を見なおして70歳以上の高齢者の事故負担の上限額を現役世代並に引き上げる方針を決めており、票田としてバラマキを行う高齢者すら、参院選が終われば用済みと言わんばかりです。
防衛費や海外援助には兆単位の莫大な資金を注ぎ込み、あからさまな選挙対策のバラマキには財政難や財源の話は持ち出さず、社会保障の話になると口を酸っぱくして財源がないと渋ってみせるこの姿勢を続けるならば、国民の生活に目が向いていないとの批判は免れないのではないでしょうか?
子育て給付金、来年度から廃止へ 1600万人が対象:朝日新聞デジタル
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