自民党のネット中傷対策いきなり暗雲、デマで野党を「恥を知りなさい」と攻撃し芸術の検閲に理解ある三原じゅん子議員が座長に



年金問題で野党を「愚か者の所業」「恥を知りなさい」と罵倒したあの自民党・三原じゅん子議員がネットの誹謗中傷対策プロジェクトチームの座長を務めることになりました。

いきなり芸術への検閲にも理解を示すなど不穏な空気を漂わせていますが、そんな三原議員の「八紘一宇」賞賛などの過去発言を振り返ってみましょう。詳細は以下から。


◆ネット誹謗中傷対策のはずが、なぜか芸術への検閲に理解も
5月23日にSNSの匿名ユーザーらから誹謗中傷を受けていた女子プロレスラーの木村花さん(22)が自殺したことを受け、自民党は5月26日にインターネット上の誹謗中傷・人権侵害等の対策プロジェクトチームを発足させました。

このプロジェクトチームの座長には三原じゅん子党女性局長が就任し、SNSで頻発する匿名アカウントによる誹謗中傷を規制する法改正も視野に入れて活動するとのこと。

この日には初の役員会も開かれ、被害者が発信者の情報を得るためのプロバイダー責任制限法の要件緩和などを検討することが確認されています。

役員会後に三原議員は「ネット上の誹謗中傷が無法地帯化していると言っても過言でない。批判と誹謗中傷はまったく違うと示していく」と語っています。

批判と誹謗中傷の違いについて三原議員は、批判は「物事に検討を加え、判定・評価する事」であり、誹謗中傷は「他人への悪口、罵声等により名誉を毀損する事」、そして政治批判は「検討を加え判定・評価する事」としています。



字面上は問題なさそうにも見えますが、問題はそれを誰がどのように法的に判断するか示されていないところ。恣意的な判断が可能となれば、当然ながら政権への政治批判の重箱の隅をつついて誹謗中傷だと黙らせることも容易になります。

また、チャップリンやモンティパイソンのように、皮肉を込めて権力を風刺する表現はコメディの王道ですが、それも誹謗中傷とされるのであれば、表現の自由への明確な検閲となります。

実際に三原議員は自身のツイートへの「芸術だ。と言えば何でもいい。のも論外です。愛知、広島トリエンナーレ。昭和天皇への侮辱な画像とかも」というリプライに「本当ですね」と理解を示しています。


◆三原じゅん子議員の過去の言動を振り返ってみましょう
すでにこの時点で赤信号な三原議員ですが、過去にはレッテル貼りや野党への事実未確認での罵倒も行っており、しかも大日本帝国の政策標語「八紘一宇」こそが日本のあるべき立ち居振る舞いと熱弁してしまう人物です。順に見ていきましょう。

・野党に「愚か者の所業」「恥を知りなさい」と罵倒→デマでした
いわゆる「老後資産2000万円」問題とも呼ばれた2019年の年金問題についてはBUZZAP!でも繰り返し与党のドタバタ劇とズタボロの対応をお伝えしてきました。

その当然の帰結として野党が提出した問責決議案への反対討論に登場した三原議員は以下のようにブチ上げてみせます。

民主党政権の3年間、年金支給額は増えるどころか、引き下げられていた。はっきり言って無為無策だった。安倍政権では今年、年金支給額はプラスとなった。民主党政権の「負の遺産」の尻拭いをしてきた安倍首相に感謝こそすれ、問責決議案を提出するなど全くの常識外れ。『愚か者の所業』とのそしりは免れません。

「野党のみなさん、恥を知りなさい!」 三原じゅん子氏“ド迫力演説”の波紋 ネット上では賛否両論 - zakzakより引用)


おなじみの「悪夢の民主党政権」論法を持ち出して野党を「批判」。そしてあの有名なせりふが飛び出します。

野党のみなさん、もう一度改めて申し上げます。恥を知りなさい!

「野党のみなさん、恥を知りなさい!」 三原じゅん子氏“ド迫力演説”の波紋 ネット上では賛否両論 - zakzakより引用)


これに関し、毎日新聞がファクトチェックを行い、年金支給額の減少は民主党政権時は1年平均約551円減だったのに対し、安倍政権は1年平均1348円減となっており、民主党政権の倍以上であることが指摘されています。

デマに基づいた「批判」は当然批判ではありません。三原議員はデマによって野党に「根拠のない事を言いふらし、他人の名誉を傷つける」行為である「中傷」を行ったことになります。

・政見放送で年金積立金の運用益を誇張
また三原議員は2019年参院選の政見放送での安倍首相との対談で年金積立金の運用益は、この6年で44兆円増えました。民主党政権時代の10倍ですねと発言。


またもや民主党を叩きながら自民党の成果を誇ってみせますが、こちらもファクトチェックによってデマであることが確定しています。

つまり三原議員は国民に信を問う選挙に向けた政見放送で、首相と組んで自党に有利なデマを流して野党を叩いていたことになります。

・大日本帝国の「八紘一宇」を国会で賞讃
三原議員は2015年3月16日の参議院予算委員会でグローバル化の進む現状での租税回避問題に関する日本の方針について質問。

租税回避問題はグローバル資本主義の影の部分から目を背け続けることはできないとし、大日本帝国が海外侵略を正当化するために用いた「八紘一宇」こそが日本の取るべき道であると主張します。

21世紀の日本の国会という場で三原議員は「この八紘一宇という根本原理の中にですね、現在のグローバル資本主義の中で日本がどう立ち居振る舞うべきかというのが示されているのだと私は思えてならないんです!」と熱烈に問いかけています。動画は以下から。


この言葉は敗戦後、連合国軍最高司令官総司令部による神道指令によって公文書での使用が禁止されました。戦後の政界では昭和32年の松永東文部大臣が衆議院文教委員会で

戦前は八紘一宇ということで、日本さえよければよい、よその国はどうなってもよい、よその国はつぶれた方がよいというくらいな考え方から出発しておったようであります。


と発言しており、また昭和58年には中曽根康弘総理大臣が衆議院本会議で

戦争前は八紘一宇ということで、日本は日本独自の地位を占めようという独善性を持った、日本だけが例外の国になり得ると思った、それが失敗のもとであった。


との認識を示すなど、三原議員以前にはまったく肯定的に使われていません。

・「総理のお言葉伝えるべき」発言
2020年3月14日、新型コロナウイルス対策の記者会見後に三原議員は報道の在り方に注文を付け連日ワイドショーで専門家という肩書きの方の言葉を伝えるより、総理のお言葉をつたえるべきでは?とツイート。


新種のウイルスにおける緊急事態なのですから、専門家の科学的な指摘や対策をマスコミが取り扱うのは当然のこと。それよりも首相の発言をより重んじるべきとしたこの発言には多くの疑問の声も。

特に「総理のお言葉」という、まるで総理大臣が主権者たる国民よりも偉い「お上」であるかのような表現には多くの拒絶反応が集まりました。

◆三原じゅん子議員に「誹謗中傷」対策は可能か
これまでの発言を見てくると、三原議員は大日本帝国の独善的な「八紘一宇」を信奉し、安倍首相をまるで国民よりも上位の存在であるかのように語っています。

そして昭和天皇を侮辱している(ように見える)表現を行ったトリエンナーレへの検閲に理解を示すなど、表現の自由の重要性が理解できていません。加えて自党へはデマを用いて成果を水増しし、野党に対してはデマを使って中傷を行うことにも躊躇がありません。

果たしてこのような人物が、誹謗中傷・人権侵害等の対策プロジェクトチームの座長として誰を守り、どのような表現を攻撃することになるか、単純に安心はできそうにありません。

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