【コラム】五輪開催「一番大きな問題は世論」森会長が日本国民の8割超を「敵視」してしまう



日本国民の8割を超える世論を新型コロナよりも大きな障壁だと捉える森会長。いったい誰のための東京オリンピックなのでしょうか。詳細は以下から。

◆五輪開催の最大の障壁は「反対する日本国民」と森会長
東京五輪組織委員会の森喜朗会長が2月2日、自民党本部で開催された東京大会実施本部合同会議の役員幹部会であいさつした際の発言が波紋を広げています。

森会長は今夏の東京五輪開催を阻む問題について一番大きな問題は世論。そしてコロナ収束の2つと、新型コロナよりも前に開催に反対する8割超の国民世論を槍玉に挙げました。

また森会長はあいさつの中で「コロナの方は今、菅総理はじめ皆さんが取り組んでおられるが、私たちは必ずやると。やるかやらないかという議論ではなく、どうやってやるのかと。この際、新しい五輪を考えようと」とも述べ、あくまで開催前提の姿勢を崩していません。

◆五輪の今夏開催には日本国民の8割以上が反対
NHKの1月13日の世論調査では、「開催すべき」は16%で前月から11ポイント減り。「中止すべき」と「さらに延期すべき」をあわせるとおよそ80%に上っています。

また、さらに直近の朝日新聞の23、24日の世論調査では、「再延期」が前月から18ポイント増えて51%となり「中止」の35%とあわせて86%に、「今夏の開催」は19ポイント減って11%にまで減っており、国民の8割から9割近くが今夏の五輪の強行開催に反対しているのが現状です。

森会長はこの日のあいさつで、これら日本国民の反対の声が五輪開催を阻む新型コロナ以上の大きな問題だと考えており、また8割超の国民の反対を押し切って是が非でも五輪を開催するつもりだと明言したことになります。

◆なぜ今期五輪開催に反対なのかという根本的な問題
当然ながら、開催国の国民の8割以上が反対する東京オリンピックを開催することにどんな意味や正統性があるのかという問題が生じてきます。

これについて菅首相はダボス会議で人類がコロナに打ち勝った証として、そして世界の団結の象徴として、世界中に希望と勇気を届けることができる大会を実現する決意を改めて表明。

ただし、そのための「コロナに打ち勝つ」ことについて日本は現在に至るまで完敗としか呼べない状況が続いています。第3波が到来した2020年秋の「勝負の3週間」の失敗に続き、GoTo停止の致命的な遅れにより年末年始にかけて全国的に感染が爆発。首都圏を中心に医療崩壊が深刻化し、自宅療養のまま死亡するケースも相次ぎました。

年明けに慌てて発令された緊急事態宣言の発令時に菅首相は1ヶ月後には必ず事態を改善させると断言しましたがこちらも事態の改善には至らず、10都府県で1ヶ月の延長に追い込まれました。

東京五輪については、招致時のアンダーコントロール発言や贈賄疑惑、復興五輪という名目の形骸化などの問題がコロナ以前から山積しており、その時点からの反対意見も確かにありました。

ですが、国民の多くが「今夏の五輪開催」に反対する理由は間違いなくこのコロナ禍が収束せず、政府の対応がすべて後手後手に回っていることにあります。

もし仮に日本が台湾やニュージーランドのように感染拡大を押さえ込めていれば反対世論はもっと小さかったはずですが、医療崩壊し、自宅での放置死も発生する状況下で安心安全の基準はないとトップが断言する五輪開催に反対するのは極めて自然な話です。

反対世論の原因がコロナである以上、一番大きな問題はコロナであり、その対応に失敗し続ける政府を問題視したとしても、その結果である国民世論自体の問題視は本末転倒。物言わぬコロナ相手にはゴリ押しできても、選挙権を持ち反対の声を上げる国民はより「やっかいな問題」という認識なのでしょうか。

開催国の国民の8割以上を「敵視」する東京五輪組織委員会の存在意味は何なのか、コロナ禍で東京五輪を強行開催する意味と共に、「大きな問題」が日本国民に突き付けられたことになります。

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