「いぶりがっこ」伝統壊滅の危機、改正食品衛生法が少子高齢化の跡継ぎ不足を直撃



秋田県の誇る特産品のひとつがピンチに陥っています。

少子高齢化で跡継ぎがいない中、多額の設備改修を迫られて廃業を決意する人が相次いでいるとのこと。詳細は以下から。


秋田県の名物として広く知られる漬物「いぶりがっこ」が、改正食品衛生法により危機に陥っています

いぶりがっこは秋田県南部の伝統的な漬物で、大根やにんじんを囲炉裏の天井につるして燻煙乾燥という独特の乾燥法で燻製にし、米ぬかと塩で漬け込んだもの。

燻製が人気になる中で知名度を上げ、クリームチーズを載せてワインと合わせる食べ方なども広く知られるようになっていました。

ですが全国で浅漬けなどの食中毒が相次いだことから、国は2021年6月施行の改正食品衛生法で漬物製造業を営業許可の取得が必要な業種に追加しました。

これによって国際標準に沿った衛生管理が義務付けられ、専用の製造場所を設けるよう規定されました。ですがいぶりがっこは、地元の農家らが古来の製法で農閑期に小屋で作り続けているもの。

作り手には零細の農家が多く、全国トップクラスの高齢化と少子化に伴う跡継ぎ不足に悩まされています。生産者の平均年齢は70代で、9割程度は小規模とのこと。

改正法の衛生基準を満たすには多額の改修費が必要になりますが、跡継ぎのいない状態で高齢の農家が100万円以上の設備投資を行うのはあまり現実的ではありません。実際に廃業を決めた農家も少なくないとのこと。

誰がどのように作ったかで味の違いを楽しめるのもいぶりがっこの魅力でしたが、今後は直接のツテがなければ、そうした伝統的ないぶりがっこを楽しむのは難しくなりそう。

大規模な工場生産のいぶりがっこだけが生き残ることになってしまうのでしょうか…。

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