ウェブ上で広告は見たくないもの、消したいもの、見るのであればなんらかの対価を求めたいものとの立ち位置になっています。
シャープはどこまでそれを理解した上でこの「洗濯機に広告配信」をスタートしたのでしょうか。先行きが注目されます。
シャープが「洗濯機に広告配信」サービスを開始
シャープが8月28日に開始を発表した「洗濯機を活用した広告配信サービス」が話題です。
このサービスでは、洗濯機本体からの音声広告とアプリ上のバナー広告を組み合わせて配信できるとしています。
対象となるのはシャープのAIoTクラウドサービス「COCORO WASH」に対応する洗濯機。音声広告は洗濯機本体のスピーカーから再生され、同時に「COCORO WASH」アプリ上からもバナー広告を配信できます。
ユーザーの属性や洗濯機の種類、搭載機能などの細かな条件からターゲティングが可能で、洗濯関連商品などの認知度向上といった広告効果が期待できるとのこと。
同サービスの第1弾としてライオンの液体高濃度洗剤「トップ スーパーNANOX 自動投入洗濯機専用350g」のプレゼントキャンペーンの広告が廃止されるとしています。
ただし広告視聴のメリットはなし
問題は、この広告が消費者側にとっては全くメリットがないことです。
洗濯機がいきなりCMをしゃべり出し、アプリ上に突然バナー広告が表示されるのは企業側としてはメリットですが、消費者側が同じように受け取るとは限りません。
現在ネット上で広告を閲覧してもらうため、楽天はポイントを付与し、マンガアプリは無料1話閲覧やコインを提供し、ソーシャルゲームはガチャ1回をプレゼントするなど涙ぐましい努力を続けています。
YouTube Premiumや一部のソーシャルゲームなどが「広告非表示」を課金要素にしていることを考えれば、多くの消費者にとって広告はうっとうしく、消したいものだといえるでしょう。
シャープの「洗濯機に広告配信サービス」が、広告1回ごとにポイントの付与や水道光熱費の割引が行われるならば歓迎した消費者は少なくなかったかもしれません。
また広告配信と引き換えに購入代金が同グレードの洗濯機よりも安かったならば、選択する消費者もいるはずです。
しかし現時点では、この広告配信サービスで消費者への明確なメリットは打ち出されていません。
もしかして、「有益な広告を流すのだから、きっと歓迎されるに違いない」と考えているのでしょうか…。
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