言い逃れの出来ない森会長の女性差別発言、東京五輪組織委トップの発言ということで世界中のメディアが一斉に報じ、強く非難しています。詳細は以下から。
◆森会長がJOC会議でオリンピック憲章ガン無視の女性差別発言
2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で五輪組織委の森喜朗会長の「女性がたくさん入っている理事会ha
時間がかかります」(全文はこちら)発言は日本国内でも女性蔑視発言として瞬く間に大炎上となりました。
ですがこれはただの個人の感想にとどまらず、今夏に迫った東京オリンピックの組織委トップの公式な会議の場での発言ということで、海外一流紙を筆頭に世界中のメディアが反応しています。
なお、最新のオリンピック憲章では「男女平等の原則を実践するため、 あらゆるレベルと組織において、 スポーツにおける女性の地位向上を促進し支援する。」としており、森会長の今回の女性差別発言はこれに完全に反しています。
JOCも「人種、宗教、政治、性別、その他に基く、国もしくは個人に対する差別は、いかなるかたちの差別であっても、オリンピック・ムーブメントへの帰属とは相入れないものである」と差別への反対を明言しており、オリンピックに絡むいかなるレベルであれ到底容認できるものではないことが明確です。
このまま森会長をトップに据えたままに東京五輪開催を目指すことはオリンピック憲章への挑戦となってしまい、五輪スポンサー企業もこの発言を黙認すれば「性差別を黙認した」と世界中から受け取られるという極めて困難な事態となっています。
さて、世界のメディアはこの発言をどのように捉えたのか、見ていってみましょう。
◆ニューヨークタイムズ
「東京五輪の代表、会議で女性の発言の制限を示唆(Tokyo Olympics Chief Suggests Limits for Women at Meetings)」とする記事を極めて早い段階で掲載。
森会長の発言の詳細を伝えただけでなく、ネット上での大炎上にも触れ、上記のような理念を示しているJOCがこの発言に反論せず、実質的に黙認していることへの批判も紹介しています。
◆ワシントンポスト
「東京五輪の代表、女性は会議で喋り過ぎるので『困る』と発言(Tokyo Olympics chief says women talk too much at meetings, calls it ‘annoying’)」とするで同様に森会長の発言を詳しく取り上げて報じており、記事のURLでは「性差別発言」という言葉を使っています。
記事内では森会長の発言に対し、会議に参加していたJOCメンバーから笑い声が上がっていたことにも触れています。加えて、森会長の総理大臣時代を含めた数々の失言やスキャンダルなどについてもずらりと列挙しています。
◆ロイター通信
「2020年東京五輪の森会長が会議で性差別発言と報道(Tokyo 2020 chief Mori makes sexist remarks at Games meeting-newspaper)」と日本の報道を引用する形ん記事ですが、明確に性差別発言であることを指摘しています。
記事内では森会長の「新型コロナの状況がどうであれ、オリンピックを開催する」とした発言も紹介、国内世論の大多数の反対を押し切る発言がすでに大きな批判を浴びていることに触れています。
◆AFP通信
「2020年東京五輪の代表が性差別発言と報道(Tokyo 2020 chief made sexist remarks: report)」との記事がYahoo!newsで配信されています。
ここでは森会長が性差別騒動の火種となる危険を冒したと指摘されています。また日本のジェンダーギャップ指数が153ヶ国中121位と極めて低い事にも触れています。
またこの記事はフランスの国際ニュース専門チャンネル「France 24」や「ラジオ・フランス・アンテルナショナル」などの記事としても配信されています。
◆CTVニュース
カナダのCTVも「東京五輪森会長がJOC会議で性差別発言と報道(Tokyo 2020 chief Mori makes sexist remarks at Olympic Games meeting: report)」と明確に性差別発言であることを指摘。
こちらも「新型コロナウイルスがどうであろうと、必ずやり抜く」とした発言が既に日本国内で大きな批判を浴びていることにも触れています。
◆ハンブルガー・モーゲンポスト
ドイツのハンブルガー・モーゲンポストは「東京五輪の会長に性差別との非難(sexism allegations against Tokyo's Olympic boss)」とする記事を掲載。
記事では発言に触れつつ性差別発言と非難されていることを紹介。また「平等は日本の極めて大きな問題」として、その他の国際指標で好成績を収めている日本において男女平等に関しては出遅れていることを指摘しています。
◆ウエスト・フランス
フランスのウエスト・フランスは「東京五輪の会長からすると、女性は簡明であるのが困難なようだ(For the boss of the Tokyo Olympics, women find it difficult to be concise ...)」と揶揄。
記事冒頭では「このステートメントは万人に好まれるものではないだろう」と牽制。そこから発言を詳しく紹介し、会議参加者から笑いが起こったこと、東京五輪側からこの発言へのコメントが得られなかったことを明らかにしています。
◆20ミニュッツ
フランスの20ミニュッツは「東京五輪2020:組織委会長が会議の途中で性差別的の決まり文句を組み上げる(Olympic Games 2020: The president of the organizing committee combines sexist cliches in the middle of a meeting)」という記事を掲載。
記事の冒頭から「東京五輪の森喜朗代表が時速320kmで性差別のハイウェイを駆け抜けた」と激しくコケにされています。
加えて森会長の発言に聴衆から笑いが上がったこと、東京五輪側からこの発言へのコメントが得られなかったこともしっかり記されています。
◆50 minds
西アフリカのナイジェリアのニュースメディア50 mindsは「東京五輪の森会長が女性を誹謗中傷(Olympics boss Mori makes disparaging remark about women)」とする記事を掲載。
発言の詳細を記し、物議を醸している旨を伝えています。
◆マーケットウォッチ
「東京五輪の代表が会議で女性が発言し過ぎるのは『困る』と考えている(The Tokyo Olympics chief thinks it’s ‘annoying’ how much women talk in board meetings)」という記事を掲載。
ここでも森会長の発言を子細に取り上げていますが、興味深いのは学術的な研究結果を示していること。Barbara氏とGene Eakins氏による「男性の方が会議でより多く、そして長く話している」ことを示す論文に言及していること。
それによると、調査の対象とされた7つの会議の中で最も長い女性の発言は最も短い男性の発言よりもさらに短かったとのこと。
また2017年にブルームバーグ社の委託した研究では、15万5000社以上の会社の19年に渡る電話会議を調査したところ、男性の発言時間が全体の92%を占めていたことが明らかにされています。
【次の記事】
1日経って森会長の釈明が行われましたが、自分の発言の何がどのように女性蔑視だったか理解できていないようです。
「女性の数だけを増やすのは考えもの」森会長が女性蔑視発言への釈明でさらなる燃料を投下 | Your News Online
森会長は謝罪会見を行いましたが、記者からの質問には終始逆ギレ気味だったうえに、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」発言が森会長個人のものでなく、各競技団体からよく上がってくる話だったと差別体質が広く蔓延していることを暴露してしまいました。
「『女性が多いと会議が長い』は各競技団体から上がってきた話」森会長が「謝罪会見」で全方位にガソリンをぶちまけてしまう | Your News Online
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